『6-3.プロジェクトを成功に導く秘訣(2)「情熱・勇気・忍耐力」を兼ね備える』の記事では、
- 「情熱」によりプロジェクトメンバーを鼓舞して、「勇気」により困難に立ち向かい、「忍耐力」により決して諦めないでゴールの達成まで突き進んで欲しいこと
- 各部門から選抜するのではなく、もともと変化に柔軟に対応することや、困難に立ち向かうことが好きな「情熱・勇気・忍耐力」を兼ね備えたメンバーを立候補で集めて欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の3つ目は、
・「決意表明と期待値の交換」を行う
です。
「決意表明」と「期待値の交換」をきちんと行っている「プロジェクト」を、今までほとんど見たことがありません、、、。「決意表明」と「期待値の交換」は、チームのパフォーマンスを向上させるための潤滑油になりますので、ぜひ、あなたの「プロジェクト」にも取り入れてみてください!
目次
「決意表明と期待値の交換」とは?
「決意表明と期待値の交換」について、
- 「決意表明」とは?
- 「期待値の交換」とは?
それぞれ、1つずつ詳しく解説します。
「決意表明」とは?
通常、「プロジェクト」を開始する段階では、プロジェクトマネージャー(実行責任者)から、あらかじめ役割分担が(役割とセットで責任も)伝えられているものですが、
プロジェクトメンバーによる「決意表明」とは、改めて、各メンバーから他のメンバーに対して
- 今回のプロジェクトにおける私の役割と責任は、●●です。
- 具体的には、▲▲という作業を担当します。大まかな作業工程は、■■です。
- 今回のプロジェクトでは、××という新しい挑戦にも取り組みたいと考えています。
というような、「役割分担(役割と責任)」の内容、具体的な「作業内容」と「作業工程」、更に、今回の「プロジェクト」において、「積極的に挑戦したいこと」などを自分の口から伝えてもらうことです。
えっ、そんなんプロジェクトマネージャー(実行責任者)から、各メンバーに一斉に伝えてもらったらいいのでは!? 一人一人が自分の口から、自分の言葉で伝えないとダメなの??
と思われたかもしれませんが、
まず、「役割分担(役割と責任)」の内容を、自分の口から、自分の言葉で伝えてもらうことで、自分に与えらえた「役割」と「責任」を「自分ごと」として捉えてもらうことができます。
もし、「役割」と「責任」の認識に、
『あれ、それって私の「役割」では、、、?』『何か、私の「役割」と重複している気がするけど、、、』
など、メンバー間での認識の違いや疑問点などが生じれば、その場で認識を合わせること、修正することも可能です。
次に、具体的な「作業内容」と「作業工程」を、自分の口から伝えてもらうことで、伝えるまでの過程や伝えている最中に、「作業内容」や「作業工程」に対する「気づき」や「疑問」が発生して、それらを確認することで、「作業内容」と「作業工程」に関する理解が深まります。
最後に、「プロジェクト」において挑戦したいことを、自分の口から周りのメンバーに伝えてもらうことで、「プロジェクト」に対するモチベーションを高めることが可能です。
これは、「プロジェクト」において挑戦したいことを、自分の口から周りのメンバーに対して宣言してしまった以上、やらざるを得ない状況になります(笑)しかし、自分で宣言することで、モチベーションも自然に高まりますし、周囲のメンバーにも伝わっているので、サポートも得られたりと取り組み易くもなります!
「期待値の交換」とは?
「期待値の交換」とは、各メンバーから他のメンバーに対して、それぞれ
- 今回のプロジェクトでは、●●に不安があり、随時質問させてもらいますので、ご回答お願いします
- ▲▲の経験は豊富なのですが、■■は未経験なので、サポート宜しくお願いします
- ××さんの★★の知識は、今回のプロジェクトで必要不可欠なので、どんどん発信お願いします
など、「プロジェクト」に対する「不安」や「懸念点」、周りのメンバーに対する「依頼」や「期待」を伝えてもらうことです。
冒頭で、『「決意表明」と「期待値の交換」をきちんと行っている「プロジェクト」を、今までほとんど見たことがありません、、、。』とお伝えしましたが、特に、この「期待値の交換」が行われているのをほとんど見たことがありません、、、。「期待値の交換」は効果抜群なので、本当に勿体ないです!
各プロジェクトメンバーが、それぞれ
- 「プロジェクト」に対して、どのような「不安」や「懸念点」をもっているのか?
- 他のメンバーに、どのようなことを「依頼」したいのか?
- 他のメンバーに対して、何を「期待」しているのか?
という「期待値の交換」を行うことで、プロジェクト内での助け合いが行い易くなります。
「期待値の交換」を行うと、相手の「不安」「懸念点」「依頼」「期待」が分かるので、
「(相手が困っている様子のときに)これは、言ってあげた方が良いのかな? 余計なお世話かな?」「(自分が気づいたことに対して)これは、どんどん発信して良いのかな? ムダな情報やと思われへんかな?」
などと余計なこと(しなくても良い配慮)を考えなくて済みます。
(すでに知っている「不安」「懸念点」「依頼」には、すぐに応えたら良いですし、「期待」されていることは、どんどん発信すれば良くなります)
「プロジェクト」では、複数人で同じゴールを目指して協力しながら活動することが求められますが、いつも同じメンバーで活動する訳ではなく、むしろ、初対面のメンバーも多いのが普通です。そのような状況なので、「期待値の交換」を行い、事前に各メンバーの「不安・懸念点・依頼・期待」が分かると、積極的なサポートが可能になります!
なぜ、「決意表明と期待値の交換」を行うことが大切なのか?
なぜ、「決意表明と期待値の交換」を行うことが大切なのか?というと、
「決意表明と期待値の交換」を行わなければ、
- チームとしての「相乗効果」が発揮できなくなるから
です。
チームとしての「相乗効果」が発揮できなくなるから
ここで、影山 明 著『プロジェクトを変える 12の知恵』で書かれている内容をご紹介しますが、
ただのヒトの集まりから出発するチームが、機能するチームへと成長するには、「タックマン・モデル」という下記の成長の段階をたどるものである。
(1) フォーミング(形成):ただのヒトの集まりの状態(初めましての状態)
(2) ストーミング(混乱・対立):考え方の違いや意見の衝突が表に出てくる状態(険悪な状態)
(3) ノーミング(統一):価値観が統一できたり、役割分担が腹落ちされた状態(平穏な状態)
(4) パフォーミング(機能):最高のパフォーマンスが出ている状態(相乗効果が生まれている状態)
チームをフォーミングの状態から、ストーミングの状態を飛ばして、一気にノーミングの状態に引き上げ、更には、パフォーミングの状態を目指すには、メンバー間での「決意表明」と「期待値の交換」を行うことが重要である
影山 明 著『プロジェクトを変える 12の知恵』(2011)
とあります。
私は、本書を読んだとき、チームの成長段階がモデル化された「タックマン・モデル」に対して、
『なるほど!チームは一度、必ず「混乱」と「対立」を経験するものなんだ!!』『チーム内に、「混乱」と「対立」が生じても、それが普通なんだ!!』
と感嘆し、非常に強い納得感がありました。
どの「プロジェクト」に参加しても、初めは、
「どうも初めまして、●●と申します。お互い協力して仲良くやりましょう!」
という和やかな雰囲気でスタートするのに、いつも、時間が経過すると、
いつの間にかメンバー間の考え方の違い、価値観の違いから意見の衝突が発生し、メンバーがお互いのことを
「この人とは、合わない、、、」「あの人は、何を考えているか分からん!」「アイツの言うことには、全然納得できない!!」
と思い始め、
どれだけ少人数の集まりであったとしても、意見の合う者どうしの派閥のようなものができ(もちろん、一匹狼もいます)、「混乱」や暗黙の「対立」が発生していることがほとんどです。
大人になると、「本音をぶつけ合う」ということが少なくなるので(当たり障りのないように振舞うことがうまくなるので)、ハッキリとした「混乱」や「対立」ではないにしても、
「お互いが歩み寄らずに、表面上は仲良くしている状態」で、チームとしての「相乗効果」がまったく発揮できないまま「プロジェクト」が終わり、チームが解散することが多く見受けられます、、、
チームが「パフォーミング」の状態にならず(少なくとも「ノーミング」の状態にならず)「ストーミング」の状態のままで終わってしまうことは、チームとしての相乗効果がまったく発揮できていない状態なので(別にチームを組まずに個人で仕事をしているのと同じ状態なので)とても勿体ないことです。
『プロジェクトを変える 12の知恵』でも紹介されている通り、チームを「フォーミング」の状態から、「ストーミング」の状態を飛ばして、一気に「ノーミング」の状態に引き上げ、更には、パフォーミングの状態を目指し、チームとしての相乗効果を発揮するためにも、ぜひ、メンバー間での「決意表明」と「期待値の交換」を行ってみてください!
いつ、「決意表明と期待値の交換」を行うと良いのか?
いつ、「決意表明と期待値の交換」を行うと良いのか?というと、
- 「プロジェクト」の開始時や節目で行う
と良いです。
「プロジェクト」の開始時や節目で行う
まず、「決意表明と期待値の交換」を行うのが自然で、最も効果が高いのは、「プロジェクト」の開始時です。
初めて、プロジェクトメンバー同士が顔を合わせるときに、「決意表明と期待値の交換」をやってしまうと良いです。
プロジェクトメンバー同士が何の偏見も持たずに、プラスの感情も、特に、マイナスの感情ももっていない際に、
お互いの「役割分担(役割と責任)」「作業内容」「作業工程」「積極的に挑戦したいこと」「不安」「懸念点」「依頼」「期待」などを共有して、協力体制を作ってしまうことが大切です。
プロジェクトメンバー同士が初めて顔を合わせた際に(キックオフ会議と言われます)、プロジェクトマネージャーなどが、事務的にプロジェクトの目的やゴール、役割分担やスケジュールを伝えて終わる、、、ということがありますが、初めが一番肝心で協力体制を築きやすいので、このチャンスを絶対に有効活用してください! (くれぐれも、右から左に聞き流されるだけの業務連絡には、しないでください)
また、新しくメンバーが入ってきた、メンバーが抜けたなど、体制が変わる「プロジェクト」の節目には、再度、プロジェクトメンバー同士で「決意表明と期待値の交換」を行うのが良いです。
「プロジェクト」の節目に、「決意表明と期待値の交換」を行っておかないと、
あれ? メンバー抜けた分の役割分担(役割と責任)はどうなるんやろ? 誰が埋めるんやろ? 作業量やスケジュールにも影響してくるよな、、、
とか
新しいメンバーの人は、どこまでこのプロジェクトのこと、他のメンバーのこと理解してるんやろ? プロジェクトマネージャーからある程度聞いているとは思うけど、他のメンバーの「不安」「懸念点」「依頼」「期待」まで聞いてるんかな?
など、各メンバーの中に新しい「不安」や「懸念点」「疑問点」が発生し、更に、それらを放っておくと、チームが、考え方の違いや意見の衝突が表に出てくる「ストーミング(混乱・対立)」の状態になりかねません。
「決意表明」や「期待値の交換」は、効果抜群で、どの「プロジェクト」でもぜひ実践してみて欲しいのですが、「決意表明」や「期待値の交換」があまり行われていないのは、
誰しも、大人になるにつれて、自分をさらけ出すことに抵抗を感じるようになることが大きな原因です。(そもそも「決意表明」と「期待値の交換」が重要と考えていないことも原因ではあります)
突然、一人で「●●したい!」や「▲▲して欲しい!」などの「決意表明」や「期待値の交換」をすると、批判に合ったり、陰口を言われたりすることもあるので、当然とも言えますが、
「決意表明」や「期待値の交換」をプロジェクトメンバー全体でうまく行うことも可能で、
「決意表明」や「期待値の交換」をしないと、自分の考えが相手に伝わらず、結局、「混乱」や「対立」を生じさせてしまうので、
「プロジェクト」の開始時や節目など、最適な時期を逃さずに、「決意表明」や「期待値の交換」を行ってみてください!
「決意表明」と「期待値の交換」は本当に強力なので、私は、「プロジェクト」を開始する際に、必ず実践するようにしています! この2つを行うことで、プロジェクトチームの雰囲気をガラッと良い方向に変えることが可能です!
まとめ
- 「決意表明と期待値の交換」は、チームのパフォーマンスを向上させるための潤滑油となること
- 「決意表明」を行うことで、プロジェクトに対するモチベーションを高めることができること
- 「期待値の交換」を行うことで、プロジェクト内での助け合いが行い易くなること
ぜひ、「プロジェクト」に参画する際は、恥ずかしがらずに、遠慮せずに、「決意表明」と「期待値の交換」を行ってみてください!
「プロジェクト」の開始時や節目において、「決意表明」と「期待値の交換」を行わなかった場合は、結局、フラストレーションが溜まり、不満が爆発して、本音を言い合う(ひどい言葉で罵り合う)ことになってしまうこともあるので、
初めから(関係が悪くなっていない状態で)「自分がどうしたいのか?」「相手に何をして欲しいのか?」をハッキリと伝えることが重要です。
あなたの「プロジェクト」でも「決意表明と期待値の交換」が行われることで、チームのパフォーマンスが向上し、プロジェクトのゴールを達成できること、そして、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!