「6-16.プロジェクトを成功に導く秘訣(15)お客様を、現場を第一に考える」の記事にて、
・プロジェクトのすべての意思決定で、「現場が、お客様に価値を提供しやすくなるか?(できるようになるか?)」を第一に考えて欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に「プロジェクトを成功に導く秘訣」について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
「プロジェクトを成功に導く秘訣」の16個目は、
・すべての情報をすぐ使えるようにする
です。
目次
「すべての情報をすぐ使えるようにする」とは?
「すべての情報をすぐ使えるようにする」とは、
- 情報を分かり易く整理すること
- 情報を最新の状態に保つこと
- 情報を関係者間で共有すること
です。
情報を分かり易く整理すること
プロジェクトでは、多くの関係者が参加し、多くの情報を扱います。
情報が錯綜(さくそう)してしまう(複雑に入り混じってしまう)と、プロジェクトの現場では、
- あれ?あの情報どこ行った、、、
- どっかで見かけた気がするけど、全然たどり着かへん、、、
- 欲しい情報を探すのに時間が掛かって、作業が進まへん、、、
という状況に陥ってしまいます。
プロジェクトの規模が大きくなるほど、プロジェクトの関係者が多くなるほど、この状況に陥りやすいので、要注意です。
「いやいや、情報を分かり易く整理するのは、基本中の基本やし、どのプロジェクトでも出来てるやろ、、、」
と思われたかもしれませんが、
・誰もが、すぐに欲しい情報にたどり着ける状態
を実現するのも、それを維持するのも大変で、注意しておかないと、
- 似たような名前のファイル(フォルダ)がたくさんあるけど、どれが正解??
- ファイル(フォルダ)が、数十個並んでるから、欲しい情報がどれか分からない、、、
- 「日付」や「個人名」だけ書かれたファイル(フォルダ)があるけど、これ何?
など、無秩序な状態に陥ってしまうことが、実際に起こります。
関係者間で、「どのように、情報を分かり易く整理するか?」という共通認識(ルール)を作り、それをプロジェクトを通して、守っていくことが大切です。
情報を最新の状態に保つこと
プロジェクトで扱う多くの情報は、日々、情報が更新されていきます。
プロジェクトは、意思決定の連続であり、日々、決定事項が追加されたり、修正されたりするので、情報は、最新の状態でなければ、意味がありません。
・誰もが、最新の情報を持っている状態
を実現するのも、維持するのも大変で、注意しておかないと、
- えっ、これが最新の情報じゃないの?これが最新と思って作業してたわ、、、
- 何か、議論が嚙み合わないと思ったら、その情報、最新ちゃうで、、、
- 一体、どれが最新情報か分からへん、、、。誰が最新情報持ってるんやろ?
など、情報が最新ではないことで、「認識の違い」や「作業の遅延」などが発生してしまいます。
関係者間で、「情報を最新の状態に保つ」ことを常に意識して、プロジェクトを進めることが大切です。
情報を関係者間で共有すること
情報を分かり易く整理し、情報を最新の状態に保つことができれば、それらの情報を関係者間で共有する必要があります。
いくら個人的に情報を分かり易く整理しても、最新の状態に保ってもダメで、情報は、関係者間で共有されてこそ意味があります。
プロジェクトが繁忙期を迎えると、(課題が山積みで、次から次へと解決策を考え、実行する必要がある時期などです)
「あっ、最新の情報を関係者に共有できてなかった、、、」「ここ最近、最新の情報を関係者に通知するのを忘れていた、、、」
などが発生してしまうものなので、
・プロジェクトの関係者全員が、最新状態に保たれた、欲しい情報をすぐに使える状態
を実現し、プロジェクト期間中、お互いに注意しながら、維持し続けることが大切です。
なぜ、「すべての情報をすぐ使えるようにする」ことが大切なのか?
なぜ、「すべての情報をすぐ使えるようにする」ことが大切なのか?というと、
- 情報を探す時間が勿体ないから
- 二度手間が発生するから
- プロジェクトの実行スピードが格段に向上するから
です。
情報を探す時間が勿体ないから
「欲しい情報がすぐに見つからない」状態だと、プロジェクト期間中、何か探しものがある度に、「欲しい情報を探す時間」が発生してしまいます。
「欲しい情報を探す時間」は、プロジェクトゴールの達成に直結する時間ではない、出来るものなら削減したい、ムダな時間です。
個人的に考えても、プロジェクト期間全体で考えると、多くのムダな時間が発生していることになりますが、関係者全員で考えると、相当な(膨大な)ムダな時間が発生していることになります。
働く人の人件費は、決して安いものではないので、「欲しい情報を探す」というムダな時間=ムダなコストを少しでも削減できるように、「情報を分かり易く整理すること」が大切です。
二度手間が発生するから
「情報が最新状態に保たれていない」状態だと、多くの二度手間が発生してしまいます。
- 情報が古いことによる、作業のやり直し(最新の情報で同じ作業を実施)
- 古い情報で検討された解決策の再検討(最新の情報で再度解決策を検討)
- 古い情報で計画されたスケジュールの修正(最新の情報でスケジュールを修正)
など、「情報が最新状態ではない」ことは、プロジェクトの遅延に直結するほど、大きな影響を及ぼします。
また、二度手間が発生すると、プロジェクトメンバーのモチベーションが下がり、プロジェクトの士気が下がります。
二度手間が何度も発生するようなことが起これば、
「全然やる気でーへん、、、」「やる気が完全に失せた、、、」「もう知らん、、、」
という声が現場から漏れてくるようになります、、、。
「二度手間が発生してしまうこと」は、プロジェクトの遅延に直結するだけでなく、プロジェクトの士気にも大きな影響を及ぼすので、常に意識して、「情報を最新の状態に保つこと」が大切です。
プロジェクトの実行スピードが格段に向上するから
多くの情報を分かり易く整理し、関係者全員で意識して最新状態に保つことは、大変なことではありますが、
・プロジェクトの関係者全員が、最新状態に保たれた、欲しい情報をすぐに使える状態
を実現し、維持することができれば、プロジェクトの実行スピードは、格段に向上します。
- 関係者全員の「欲しい情報を探す時間」がゼロになる
- 情報が最新状態ではないことによる「二度手間の発生」がゼロになる
ということは、今まで経験したプロジェクトで、実現できたことは無いですが、
少しでも、「欲しい情報を探す時間」をゼロに近づけること、「二度手間の発生」をゼロに近づけることが、プロジェクトの実行スピードを格段に向上させることになります。
(本当にゼロにすることは難しいですが、ゼロに近づけることは可能です)
どのように、「すべての情報をすぐ使えるようにする」と良いのか?
どのように、「すべての情報をすぐ使えるようにする」と良いのか?というと、
- 情報を階層化して整理する
- 情報を時系列に沿って並べる
- 「同じ情報か?」すぐに確認できるようにする
と良いです。
情報を階層化して整理する
「情報を分かり易く整理すること」の基本は、「情報を階層化して整理する」ことです。
「情報を階層化して整理する」とは、
情報を「大分類」「中分類」「小分類」というように、
- 「全体概要」から「詳細情報」へ
- 「抽象的」から「具体的」へ
- 「大きいまとまり」から「小さいまとまり」へ
順番に整理していくこと
です。
例えば、ITシステムを構築する際は、
「要件定義(どのようなシステムを構築したいか?)」という工程から始めますが、その工程内には、
「プロジェクトゴールの設定」「機能要件の定義」「非機能要件の定義」などの工程があり、
更に、それらの各工程内には、「実施すべき作業」があります。
(「プロジェクトゴールの設定」では、「各個人での検討」→「関係者間での協議」→「関係者間での最終合意」などのステップを踏みます)
「大工程」→「中工程」→「各作業」というように、「階層化」して、情報を大きな粒から、小さな粒へと順番に整理していくと、情報は理解し易くなります。
情報を時系列に沿って並べる
「情報を最新の状態に保つこと」の基本は、「情報を時系列に沿って並べる」ことです。
「情報を時系列に沿って並べる」とは、
「どのような順番で、どんな作業を行うのか?(行ってきたのか?)」を、時間の経過とともに明らかにすること
です。
後から振り返った際に、(誰かが、後から新しくプロジェクトに参加した際に)
プロジェクトの流れが一目で分かる(どんな理由でゴールや課題解決策を決定し、今、何を実行しているか?が分かる)
ことが大切です。
例えば、ITシステムを構築する際は、(「5-14.短時間で成果を残す原則(13)共通点や類似点をみつける」の記事でも書いています)
- 要件定義:どのようなシステムを構築したいか?機能や品質の要求事項を整理する
- 外部設計:要件定義の内容を基に、機能間の連携など、システムの全体像を設計する
- 内部設計:外部設計の内容を基に、各機能の詳細をプログラムレベルで設計する
- プログラム:内部設計の内容を基に、実際のプログラムを作成する
- テスト:作成したプログラムが、正常に動作するかを確認する
- リリース:正常に動作することを確認したシステムを、お客様の環境で利用して頂く
という流れでプロジェクトを進めることになりますが、このプロジェクトの流れに沿って、情報を整理していくと、情報は理解し易くなります。
「同じ情報か?」すぐに確認できるようにする
プロジェクトでは、多くの関係者が参加し、多くの情報を扱うことになりますが、
・必ず、関係者全員が「同じ情報」に基づいて、作業を進める、議論を行う
必要があります。
「同じ情報」に基づいて作業を進めていないと、どちらかの作業が正しく、どちらかの作業が間違っていることになるので、少なくとも、どちらかの作業をやり直す「二度手間」が発生してしまいます。
(間違っている作業が、正しい作業に影響して、「どちらの作業もやり直すハメになる、、、」ということも有り得ます)
「同じ情報」に基づいて議論を行わないと、議論が全く嚙み合いませんし、ムダな(本来生じない)言い争いも発生してしまいます。
(お互いの前提条件が合致していないと、すべての議論が水の泡になります、、、)
関係者全員が「同じ情報」に基づいて、作業を進める、議論を行うためには、
・「情報に適切な名前を付ける」(一目で最新情報かが分かる目印を付ける)こと
で、関係者全員が、作業を進める前に、議論を行う前に、「同じ情報か?」をすぐに確認できることが大切です。
まとめ
- 情報を分かり易く整理し、最新状態に保ち、関係者間で共有することで、すぐ使えるようにすること
- 「すべての情報をすぐ使えるようにする」には、情報を階層化して、時系列に沿って並べて、「同じ情報か?」すぐに確認できるようにすること
プロジェクトには、多くの関係者が参加し、多くの情報を扱うので、情報が錯綜(さくそう)しやすいのが現実です。
情報を分かり易く整理し、最新状態に保ち、関係者間で共有することで、すぐ使えるようにして、プロジェクトの実行スピードを各段に向上させることで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!
- 6-21.プロジェクトを成功に導く秘訣(20)プロセスを可視化する
- 6-20.プロジェクトを成功に導く秘訣(19)『7つの習慣』に従う
- 6-19.プロジェクトを成功に導く秘訣(18)プロトタイプを作成する
- 6-18.プロジェクトを成功に導く秘訣(17)スコープを曖昧にしない
- 6-17.プロジェクトを成功に導く秘訣(16)すべての情報をすぐ使えるようにする
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- 6-15.プロジェクトを成功に導く秘訣(14)良さを最大限に引き出す
- 6-14.プロジェクトを成功に導く秘訣(13)猛烈な反省から始める
- 6-13.プロジェクトを成功に導く秘訣(12)やってみせてから、やらせる
- 6-12.プロジェクトを成功に導く秘訣(11)私心を捨てて、献身的になる
- 6-11.プロジェクトを成功に導く秘訣(10)主体性を発揮する
- 6-10.プロジェクトを成功に導く秘訣(9)抵抗勢力と向き合う
- 6-9.プロジェクトを成功に導く秘訣(8)批判を歓迎する
- 6-8.プロジェクトを成功に導く秘訣(7)強固な信頼関係を築く
- 6-7.プロジェクトを成功に導く秘訣(6)リスク管理では発生確率と影響度を考慮する
- 6-6.プロジェクトを成功に導く秘訣(5)意思決定の「納得感」を高める
- 6-5.プロジェクトを成功に導く秘訣(4)「プロジェクトルール」を決める
- 6-4.プロジェクトを成功に導く秘訣(3)「決意表明と期待値の交換」を行う
- 6-3.プロジェクトを成功に導く秘訣(2)「情熱・勇気・忍耐力」を兼ね備える
- 6-2.プロジェクトを成功に導く秘訣(1)「魅力的なゴール」を設定する
- 6-1.なぜ、「プロジェクト」を成功させることは難しいのか?
プロジェクトでは、多くの関係者が参加し、多くの情報を扱い、日々、情報は更新されていきます。「あれ?あの情報どこいった、、、」「うん?これ最新版か、、、」など、情報をすぐに使えない状況に陥らないように注意が必要です!