『6-13.プロジェクトを成功に導く秘訣(12)やってみせてから、やらせる』の記事では、
- プロジェクトは、複数人で納得感の高い意思決定を行う方法などが学べる、人を成長させる最高の場なので、成長させたい人を、意図的に選んで欲しいこと
- 人を育てるには、「やってみせて(裏側を解説して)から、やらせる」のが鉄則であり、短くても良いので「やらせてみた」直後に、フィードバックを行って欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の13個目は、
・猛烈な反省から始める
です。
プロジェクトでは、「何かを変える」取り組みをすることがほとんどですが、「何をか変える」には、「猛烈な反省から始める」ことが大切です! 過去を振り返り、猛烈に反省し、「このままではいけない!」と実感してこそ、未来に向けて、力強く行動することができます!
目次
「猛烈な反省から始める」とは?
「猛烈な反省から始める」とは、「何かを変える」取り組みをする際に、
- まずは、過去を振り返り、反省すること
- 過去の反省を、未来に活かすこと
であり、「猛烈な反省から始める」ことは、
- 「犯人捜し」でも、「ダメ出し」でもない
です。
まずは、過去を振り返り、反省すること
プロジェクトでは、「何かを変える」取り組みをすることがほとんどです。
「働き方改革プロジェクト」でも、「システム刷新プロジェクト」でも、「業務改善プロジェクト」でも、「何かを変える」ことが大前提になります。
「何かを変える」には、「まずは、過去を振り返り、反省すること」が非常に大切です。
「何かを変える」取り組みをする際には、
- 「今、現在できていないことは何か?」という「現状調査」を行う
- 「今、現在できていない原因は何か?」という「原因分析」を行う
- 「なぜ、できなかったのか?」という「過去の反省」を行う
と良いです。
通常、「現状調査」と「原因分析」はほとんど行われますが、「なぜ、できなかったのか?」という「過去の反省」まで踏み込むことは少ないです。
例えば、「働き方改革プロジェクト」において、「現状調査」を行うことで、
・営業部門の平均残業時間が、他部門の2倍である
という結果が分かり、更に、「原因分析」を行うことで、
・手作業の業務が多く、システム化できていないから
という原因も分かったとします。
通常、ここまでやった後、
「現状調査」と「原因分析」からやるべきことが分かったので、手作業の業務を、可能な限りシステム化しましょう!
というように、課題解決策を立てることになり、議論が「どの手作業をシステム化するか?」に移っていきますが、
その前に、過去を振り返り「なぜ、できなかったのか?」という反省を行う必要があります。
- 当時は、システム化するお金が無かった、、、(時間が無かった、、、)
- 煩雑な作業であり、システム化するより手作業で行う方が効率が良いと判断した
- 単純に、システム化対象とするのを忘れていた、、、(抜け漏れであった、、、)
など、様々な理由があるかと思いますが、その理由まで明らかにして、「過去の反省」を行うことが大切です。
「何かを変える」取り組みをする際に、「現状調査」と「原因分析」まで行って、「過去の反省」を行わないのは、あまりにも勿体ないので、ぜひ、「現状調査」「原因分析」「過去の反省」の3点セットで行うようにしてください!
過去の反省を、未来に活かすこと
過去を振り返り「なぜ、できなかったのか?」という反省を行うことで、「過去の反省を、未来に活かすこと」ができるようになります。
先程の例で言うと、
- 当時、システム化するお金(時間)が無かったのであれば、今回は、お金(時間)の調達・確保に注力する必要がある
- 煩雑な作業であり、システム化するより手作業の方が良いのであれば、今回も、その煩雑な作業は、無理にシステム化しない方が良いかもしれない、、、
- 単純な抜け漏れであったのであれば、今回は、チェックリストを作成し、複数人で多重チェックを行うことで、抜け漏れを徹底的に無くすことが有効となる
ということが分かります。
しっかりと「過去の反省」を行うことでこそ、その「過去の反省」を「未来に活かすこと」ができるようになります。
「過去の反省」をしなければ、「同じ過ちを繰り返す」ということになりかねません! 「過去と同じ過ちを、人と時代が変わって、再度繰り返してしまう」のは、誰にとってもプラスにならないので、何としてでも避けるべきです!
「犯人捜し」でも、「ダメ出し」でもない
ここで、1点注意して欲しいことがあります。
それは、過去を振り返り「なぜ、できなかったのか?」という反省を行うことは、
・「犯人捜し」でも、「ダメ出し」でもない
ということです。
「過去にできなかったこと」をほじくり返して、犯人を特定し、
「なんで、お金(時間)を掛けてでもやらんかってん!」「こんな煩雑な作業を残したらアカンで!」「もっとちゃんと抜け漏れチェックせな!!」
という「ダメ出し」をしたい訳でも、不満をぶつけたい訳でもありません。
すべては、「これからの未来に活かす」ためであり、「同じ過ちを繰り返さない」ためであり、「じゃ、これからはどうすべきか?」を真剣に考えるため、となります。
過去(当時)には、過去(当時)の理由(できなかった理由)があり、
- 今だから分かること
- やってみたから分かること
- 後から振り返るからこそ分かること
もたくさんあります。
過去(当時)は過去(当時)で、最善を尽くしてやったことがほとんどなので、過去をほじくり返して「犯人捜し」や「ダメ出し」をしても意味がありません! すべては「過去を知り、未来に活かす」ためなので、目的を間違えてはいけません。
なぜ、「猛烈な反省から始める」ことが大切なのか?
なぜ、「猛烈な反省から始める」ことが大切なのか?というと、
- 反省すべき点は、必ずあるから
- 過去の反省をしないと、賛同や納得を得られない
- 未来への大きな推進力になるから
です。
反省すべき点は、必ずあるから
「何かを変える」取り組みをする際に、
わざわざ、過去の反省なんてする必要ないよ、、、
と思われたかもしれませんが、
「何かを変える必要がある」ということは、「反省すべき点がある」ということ
です。
今、現状がベストなのであれば、何も変える必要はありません。
今、現状がベストではないから、「何かを変える」取り組みをしているので、何かしらの「反省すべき点」は、必ずあります。必ず存在する「反省すべき点」は、素直にそれを認めて反省し、次に活かすことが大切です。
過去の反省をしないと、賛同や納得を得られない
「何かを変える」取り組みをする際に、「過去の反省」をしっかりやらないと、「何かを変える」取り組みに対する賛同や納得を得られません。
「今年から新しい取り組みをします!」「●●をやめて、■■をしましょう!」「我々は、生まれ変わります!」
などと、「過去の反省」をしないで、いきなり変化を求められても、
えっ?何で変えなアカンの?そんなに急いで変えなアカンの?今すぐなん??
とか
変えなアカンのは分かるけど、過去の何が悪かったんやろ? 過去は過去で一生懸命やってきたつもりやねんけど、、、
とか、
全部変えなアカンのかな? 残すべきことは一つもないんかな? 良かったことはムリに変えんでもいいと思うけど、、、
などと、疑問やモヤモヤがたくさん発生します。
「何かを変える」取り組みをする際は、必ず、
- 「過去の反省」をしっかり行い、過去の何が悪くて、何を何に変える必要があるのか?
- いつまでに変える必要があるのか? 今、この瞬間、変える必要があるのか?
- 「なぜ、できなかったのか?」その理由を明らかにして、どう対策するのか?
- 変えなくて良いものは何なのか? 継続すべきことは何なのか?
を明らかにすることで、賛同や納得を得ることが大切です。
「過去の反省」を聞くこともなく、いきなり「次はこうします!」と言われることはしばしばありますが、絶対に「なんで?過去(今)の何がダメなん?」という疑問が浮かびますので、まずは、「過去の反省」をきちんと伝えることが重要です!
未来への大きな推進力になるから
「何かを変える」取り組みをする際に、「過去の反省」は、「未来への大きな推進力」になります。
「過去の反省」をしておかないと、困難な課題、予期せぬ事態、急な計画変更などに直面した際に、
「あぁ、しんどい、、、」「これ、乗り越えるのムリやわ、、、」「ん!?別に今のままでもいいのでは??」
という考えが発生し、「何かを変える」取り組みに対する勢いが無くなってしまいます、、、
しかし、猛烈に「過去の反省」をしておくと、困難な課題、予期せぬ事態、急な計画変更などに直面しても、
「あぁ、しんどい、、、」「どう乗り越えたらええねん、、、」「けど、今変わらないと、もっとヒドイことになる!」「このままでは、会社が潰れることもあり得る!」「だから、やるしかない!!」
という考えになり、「過去には戻れないこと」「過去を変えないともっとヒドイ状態になること」「過去を絶対に変えたいこと」が、「何かを変える」取り組みを力強く推進する原動力になります。
過去に対する猛烈な反省があるのと、ないのでは、「何かを変える」取り組みをする際の、推進力が全く異なります! 過去に対する反省の念が強いほど、「もう後戻りできない!したくない!」想いが強いほど、大きな推進力が生まれます!
どのように、「猛烈な反省から始める」と良いのか?
どのように、「猛烈な反省から始める」と良いのか?というと、
- 「振り返りまでが、プロジェクト」と心得る
- 非難はしないが、容赦もしない
- 「同じプロジェクトをするならどうする?」と問いかける
と良いです。
「振り返りまでが、プロジェクト」と心得る
プロジェクトは、本当に長く険しい道のりなので、プロジェクトゴールを達成するのに、人も、モノも、お金も、時間も、エネルギー(気力や体力)も、ありとあらゆる資源を、使い果たしてしまいます、、、。
プロジェクトが終わった頃には、
もう、当分、このプロジェクトのことは考えたくないわ、、、
という気持ちになります。
しかし、「振り返りまでが、プロジェクト」です。(「帰るまでが、遠足です」みたいで、すいません、、、)
プロジェクトが終わった瞬間から、(各自の無意識レベルでの希望もあり?)プロジェクトのことは、どんどん記憶から消し去られてしまいますので、
「振り返りまでが、プロジェクト」と心得ることで、プロジェクトが終わった直後に、意図的に関係者で振り返りを行うスケジュールを事前に確保しておき、必ず、振り返りを行うことが大切です。
私も、長く険しいプロジェクトをやり遂げたあとは「どこか遠くまで行ってしまいたい!」と本気で思います(笑)しかし、どこか遠くまで行く(ゆっくり休む)のは、振り返りをしてからでも良いので、振り返りまでやりきることが重要です!
非難はしないが、容赦もしない
意図的に関係者で振り返りを行うスケジュールを事前に確保し、関係者で振り返りを行う際は、「非難はしないが、容赦もしない」ことが大切です。
振り返りを行う目的は、「過去の反省を、未来に活かすこと」がすべてです。
「やっている瞬間は気づけないこと」「やってみたから分かること」は、たくさんあるので、絶対に誰かを、何かを非難してはいけません。
(非難した瞬間に、関係者が次々に、口を閉ざしていきます、、、)
しかし、「苦労話で盛り上がること」「関係者を労う(ねぎらう)こと」が主目的ではないので、(それは、別途、慰労会を開催すれば良いので、、、)
振り返りを行う際は、「良かった点」はもちろん、「改善すべき点」も、容赦なく洗い出すことが大切です。
- やっている瞬間は気づけなかったけど、●●した方が良かった
- 後から全体を振り返ってみると、もっと、●●すべきだった
- 良かれと思って●●したけど、あんまり効果がなかった
などを、思い付く限り洗い出し、関係者間で共有し、それを次に活かすことが重要です。
振り返りを行う際は、「過去の反省を、未来に活かすこと」という目的と、「非難はしない」というルールを明らかにすることが大切で、目的とルールを明確にして、心理的安全を確保したうえで、容赦なく改善点を洗い出すと良いです!
「同じプロジェクトをするならどうする?」と問いかける
そして、振り返りの際に、関係者に一番問いかけて欲しいことは、
・もう一度、同じプロジェクトをするならどうする?
ということです。
終わった後に、もう一度、ゼロから同じプロジェクトをやるならどうするかを考えることは、とても効果的で、考えるのも楽しく、
- もう一回やるなら、そもそもゴールに●●を付け加えるわ!マジで重要と分かったし、、、
- もう一度できるなら、真っ先に▲▲の課題を解決するわ!あれにホンマ苦労した、、、
- ゼロからできるなら、■■さんを立ち上げメンバーにするわ!一番詳しいと知れたし、、、
など、より高い視点で、より大きな気づきや学びを得ることができるようになります。
実際に、振り返りの際にやってみると実感できますが、「もう一度、同じプロジェクトをするならどうする?」という問いかけの威力は抜群です! 自然と「プロジェクトを通して一番重要なことは何だったか?」を考えることができます!
まとめ
- 「何かを変える」取り組みをする際は、過去を振り返り「過去の反省」から始めること
- 「過去の反省」をすることで、関係者の賛同や納得を得られること
- 「もう一度、ゼロから同じことをするならどうする?」と問いかけること
「過去の反省」は、一歩間違えれば、「犯人捜し」や「ダメ出し」につながり、関係者の関係を悪化させてしまうので注意が必要ですが、
「過去の反省」は、大きな気づきや学びを得られ、未来への大きな推進力になりますので、正しく「過去の反省」を行うことで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!