『6-9.プロジェクトを成功に導く秘訣(8)批判を大歓迎する』の記事では、
- 批判は、大歓迎すべき貴重な意見であり、喜んで受け入れて、誠実に対応することで、プロジェクト計画や課題解決策を洗練させて欲しいこと
- 「批判を大歓迎する」際は、批判を可視化して、批判と感情を切り離し、プロジェクトゴールを基準に、プロジェクト計画や課題解決策に反映させるか判断して欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の9つ目は、
・抵抗勢力と付き合う
です。
プロジェクトを進めていると、多かれ少なかれ、そのプロジェクトに対して、反対の意見を唱える人々(抵抗勢力)が現れます。 抵抗勢力は、駆逐するものでも、対立するものでもなく、付き合うもので、「いかに味方にできるか?」がプロジェクトの成否を分けます!
目次
「抵抗勢力と付き合う」とは?
「抵抗勢力と付き合う」とは、プロジェクトの計画段階においても、実行段階においても、
- 抵抗勢力を早期に発見すること
- 抵抗勢力の意見を取り入れること
- 抵抗勢力を味方につけること
です。
抵抗勢力を早期に発見すること
「抵抗勢力と付き合う」には、とにもかくにも、「抵抗勢力」を発見しなければ始まりません。
抵抗勢力とは、反対の意見を唱える人々のことですが、心の中で、反対意見を唱えるだけの場合、早期に発見するのが難しいです。
声に出して、面と向かって、反対の意見を唱えてくれると、非常にありがたいのですが、
「なんか、このプロジェクトには、賛成(納得)できないな、、、」「けど、まだプロジェクトの序盤やし、もう少し静観するか、、、」「中盤以降になっても、賛成(納得)できない場合は、反対意見を纏めてぶつけるか、、、」
など、心の中だけで、反対意見を唱えられると、早期に発見するのは難しく、声に出してくれるのを待っていると、既に、プロジェクトの中盤以降(実行段階)になり、
・プロジェクト計画の変更が難しかったり、プロジェクトの実行(継続)に大きな影響を及ぼす
ことになります。
抵抗勢力を発見するのは、プロジェクトの早い段階であればあるほど良く、早期に発見できれば、じっくりと時間をかけて意見(批判)に耳を傾けることも、議論することも、必要に応じてプロジェクト計画に早く取り入れることも可能です!
抵抗勢力の意見を取り入れること
心の中で、反対意見を唱えている場合も含めて、「抵抗勢力を早期に発見すること」が出来れば、その反対意見を聞き、プロジェクト計画や課題解決策に取り入れることが大切です。
・多くの視点からの、多くの意見が集まるほど、プロジェクト計画や課題解決策は良いものになる
ので、抵抗勢力(反対者)の方々の意見(批判)は、非常に貴重です。
プロジェクトの序盤では、(具体的な計画や課題解決策が決まっていない段階では)
「何に対して反対なのか、明確ではないけれど、なんか違う気がする、、、」 「もっと、こうした方が良い気がする、、、」
というように、違和感を感じる程度で、本当に反対なのかも定かではない場合もありますが、
違和感を感じる程度の意見を含めて、しっかりと意見を聞き、プロジェクト計画や課題解決策に取り入れる(取り入れるべきものは取り入れる)ことが大切です。
プロジェクトの序盤で、違和感を感じる程度の、本当に反対なのかも定かではない意見(批判)の方が、負の感情も伴っておらず、意見(批判)を聞き易く、プロジェクト計画や課題解決策に取り入れ易いです!
抵抗勢力を味方につけること
プロジェクトに対する、違和感や反対意見は、放っておくと、時間の経過とともに、どんどん大きくなっていくものですので、
・抵抗勢力を早期に発見し、意見を取り入れて、早い段階から味方につけること
が大切です。
違和感や反対意見の発見は、早ければ早いほど良く、早期であるほど、意見も取り入れ易いです。
誰しも、意見(批判)に耳を傾けて、その意見(批判)を取り入れてくれる人にはむやみに反対(抵抗)しないものなので、少しでも多くの違和感や反対意見を取り入れて、早い段階から、少しでも多くの味方(プロジェクト支持者)を増やすことがプロジェクトを成功に導く秘訣です!
なぜ、「抵抗勢力と付き合う」ことが大切なのか?
なぜ、「抵抗勢力と付き合う」ことが大切なのか?というと、
- 変化に抵抗することは、自然なことだから
- 抵抗者には、抵抗者の理由があるから
- 放っておくと、プロジェクトが中断する事態になるから
です。
変化に抵抗することは、自然なことだから
プロジェクトの多くは、関係者に「変化を求める」ことになります。
「働き方改革プロジェクト」「業務変革プロジェクト」「システム刷新プロジェクト」など、様々なプロジェクトがありますが、いずれも、「何かを変えること(より良いものにすること)」が大前提です。
『4-10.ゴールの達成に集中する極意(8)とにかく「最初の一歩」を踏み出す』の記事にも書いてるのですが、
人の行動にも、「外部から力が働かない限り、現在の行動を維持する」という「慣性の法則」が働くので、
「(変えなくても良いのであれば、)現状を変えたくない、、、」
という気持ちが無意識に発生します。
人の行動にも「慣性の法則」が働くのは、本当に不思議なのですが、「寝ているときは、そのままずっと寝ていたい(起きるのがツライ)」ですし、「一度、起きて行動を始めると、今度は、ずっと行動をし続けたい(途中で辞めたくない)」と自然と思うので、いつも「慣性の法則」を実感しています!
変化に対して抵抗を感じるのは、誰しもが無意識に感じる自然なものなので、多かれ少なかれ、プロジェクトで「変化を求める」と、必ず、抵抗勢力(反対者)は現れます。
そして、抵抗勢力(反対者)が現れることは、自然なことなので、
「何で反対するねん!」「反対せんとってよ!!」
などとは全く思わずに、(心に波風を立てずに)
抵抗勢力(反対者)の意見を聞き、取り入れるべき部分は取り入れ、味方になってもらうことが大切です。
プロジェクトで求める変化が大きいほど、その分、反対の意見を唱える人々(抵抗勢力)も多くなります! これは、物体の移動速度が速ければ速いほど、その分、強い空気抵抗を受けるのと、まったく同じぐらい自然なことなので、抵抗勢力は必ず現れるものであり、最初から最後まで付き合っていくものと考えると良いです!
抵抗者には、抵抗者の理由があるから
プロジェクトで「変化を求める」と、必ず、抵抗勢力(反対者)が現れますが、抵抗者には、抵抗者の理由が、反対する根拠があります。
違和感(何か、違う気がする、、、)しか感じていない場合は、「反対する根拠が何か?」をしっかりヒアリングすることで、一緒に突き詰める必要があり、
「何に対して、違和感を感じますか?」「ゴールですか?計画ですか?進め方ですか?」「方向性は合っていますか?納得感が足りないですか?」「それとも、根本から見直した方が良さそうでしょうか?」
など、根掘り葉掘り聞くことで、反対の根拠の核心に迫ることが大切です。
また、ヒアリングする際のポイントは、早い段階で、素直に聞くことになります。
時間が経過するほど(お互いの)感情が邪魔をして、素直に聞くこと(言うこと)ができなくなってしまうものなので、反対する根拠を素直に聞けない(言ってもらえない)ことが無いように、早い段階で聞くこと、また、普段からコミュニケーションを密に取り、信頼関係を築いておくことが大切です!
放っておくと、プロジェクトが中断する事態になるから
違和感を感じている人に対するヒアリングや、抵抗勢力(反対者)に対して、素直に反対の根拠を聞くことなど、
「ホンマに、ここまでしなアカンのかな、、、」「ちょっとぐらい放っておけば良いのでは!?」
と思われたかもしれませんが、
放っておくと、抵抗勢力(反対者)が一致団結して反対運動を起こし、プロジェクトが中断する事態になる場合もあります。
おそらく、抵抗勢力(反対者)の方々も、最初から一致団結して反対運動を起こしたいとは、思っていないと思いますが、
何気なくプロジェクトの話をしている際に、
今回のプロジェクトどう思う?別に反対って訳じゃないねんけど、少し違和感あってさ、、、
マジで?どんな違和感??実は、こっちも「何か違う気がする、、、」とは、前から思っててん!
そうなん!?やっぱりか!今回のプロジェクトの●●がおかしいと思うねんけどなぁ~
あっ、なるほど!!それで、何か違う気がしてたんやわ!確かに、よく考えると、●●は変やな、、、。というか、他にもモヤモヤしている人いるんちゃう??
など、違和感や反対意見を持っている人どうしが意気投合していき、更に、仲間が芋づる式に増えていって、いつの間にか、大きな抵抗勢力になっている、、、ということが起こります。
負の感情の方が結束力が強く、負のエネルギーほど爆発すると手が付けられなくなるので(これは、世界各国のデモ活動を見ていても明らかです)、プロジェクトでも、違和感や反対意見には、早いうちから手厚くケアすることが大切です!
どのように、「抵抗勢力と付き合う」と良いのか?
どのように、「抵抗勢力と付き合う」と良いのか?というと、
- 抵抗の段階を理解する
- 抵抗の兆候を見逃さない
- 人と向き合う
と良いです。
抵抗の段階を理解する
「抵抗勢力と付き合う」には、「抵抗には段階があること」を理解しておく必要があります。
- 違和感を感じる
- 声に出して反対する
- 感情的に(何が何でも)反対する
- 一致団結して反対運動を起こす
「違和感を感じる」「声に出して反対する」など、なるべく早い段階で、抵抗勢力(反対者)を発見して、意見を聞いて、取り入れるべき部分は取り入れて、味方につけることが大切なのは、上述してきた通りです。
「感情的に(何が何でも)反対する」「一致団結して反対運動を起こす」の段階まで、抵抗勢力(反対者)を放置してしまうと、まともにプロジェクトを進めれなくなってしまうので、とにかく、早め早めにケアする必要があります!
抵抗の兆候を見逃さない
「抵抗には段階があること」を理解し、なるべく早い段階から、抵抗勢力(反対者)と付き合うには、「抵抗の兆候を見逃さない」ことが大切です。
- 会議に遅刻する、欠席する
- 会議中に内職する、上の空(うわのそら)である
- 全然、意見を言わない。「べつに、、、」しか言わない
- 不機嫌そうにしている。しかめっ面をしている
- 論点をズラす。全然、関係のない話をする
- 真剣にならない。冗談しか言わない
- 腕や足を組んで、ため息をついている
など、違和感を感じている人は、良く観察すると、何かしらの兆候を示しているものです。
熱心に自身の意見を伝える、主張を行うことも重要ですが、一歩引いて、全体を見渡して、
「誰か違和感を感じていないか?」「全然、意見を言っていない人はいないか?」
などを、注意深く観察して、抵抗の兆候を見逃さずにキャッチすることも重要です。
人は感情の生き物なので、どれだけ冷静な人であっても、注意深く観察すると、何かしらの感情を読み取ることができます! それが、違和感や懸念点を感じている負の感情であれば、抵抗の兆候として見逃さずにケアすることが大切です!
人と向き合う
「抵抗の兆候」を見逃さずにキャッチできたら、必ず、ケアする必要があります。
会議の中(人が複数人いる中)で、意見を促しにくい場合は、別の場で、1対1で話を聞くことが有効です。
このような話をする場合は、メールより電話、電話より対面で行い
「ちょっと、難しい顔をされていましたが、どうされましたか?」「少し、ため息をつかれていましたが、何か気になることがありましたか!?」
などを、表情を見ながら聞くことで、感情を読み取ること、真意を掴むことが大切です。
「抵抗勢力と付き合う」というのは、結局は、「人と向き合う」ということなので、
- その人がどんな人物なのか?
- どんなことに関心を持ち、何を望んでいるのか?
- 何を嫌がり、どのような状態を避けたいと考えているのか?
ということを、その人と向き合い、直接話をして聞いて、お互いの理解を深め、プロジェクトとして、最も良いゴールに到達できるように、協力していくことが重要です。
プロジェクトでは、複数人で同じゴールを目指して活動することになるので、やはり、一番大切なのは「人」であり、メンバー同士の「信頼関係」となります! 「信頼関係」を築くには、「人」と向き合い、本音をぶつけ合い、ときには、反発し合いながらも、理解を深めていくしかありません!
まとめ
- 「抵抗勢力と付き合う」とは、反対者の意見を聞き、取り入れるべき部分は取り入れて、味方になってもらうこと
- 抵抗には段階があり、早期に発見しなければ手遅れになるので、抵抗の兆候を見逃さず、なるべく早期に発見し、その人と向き合い、協力し合える関係を築くこと
抵抗勢力(反対者)が現れることは、自然なことなので、早期に発見し、取り入れるべき意見は取り入れて、早い段階から味方になってもらうことで、
プロジェクトを円滑に進めて、プロジェクトゴールを達成できるようになり、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!