『6-10.プロジェクトを成功に導く秘訣(9)抵抗勢力と付き合う』の記事では、
- 抵抗勢力(反対者)は、早期に発見し、意見を取り入れて、味方につけることで、プロジェクトの最初から最後まで付き合って欲しいこと
- 抵抗勢力(反対者)と付き合う際は、抵抗の段階を理解し、抵抗の兆候を見逃さずに、人と向き合うことで、協力関係を築いて欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の10個目は、
・一人一人が「主体性」を発揮する
です。
成功する(プロジェクトゴールを達成できる)プロジェクトチームでは、一人一人がそれぞれ「主体性」を発揮して、プロジェクトゴールの達成のために、自発的に動いています! 待っていても、悪い状況は打破できませんので、自ら行動し、次々と手を打って行くことが大切です!
目次
一人一人が「主体性」を発揮するとは?
一人一人が「主体性」を発揮するとは、各プロジェクトメンバーが
- 自ら欲しい情報を取りに行くこと
- 自分の頭で真剣に考えること
- 自ら人を説得し、人に動いてもらうこと
です。
自ら欲しい情報を取りに行くこと
一人一人が「主体性」を発揮するということは、各プロジェクトメンバーが「自ら欲しい情報を取りに行く」ということです。
プロジェクトの計画段階においても、実行段階においても、お客様や現場の方々が、
- 本当に望むことは何なのか? 何よりも達成して欲しいことは何なのか?
- 一番苦労していることは何なのか? これだけは無くして欲しいものは何なのか?
- 最も変えたいと思っていることは何なのか? 逆に、絶対変えたくないことは何なのか?
などを、実際に、直接聞きに行くことが大切です。
お客様に直接聞かなければ、現場に行って肌で感じなければ、分からないこと、気づけないこと、理解できないことは、沢山あるので、自らお客様先に、現場に行き、欲しい情報は直接聞き出すことが重要です!
自分の頭で真剣に考えること
一人一人が「主体性」を発揮するということは、各プロジェクトメンバーが「自分の頭で真剣に考える」ということです。
プロジェクトの計画段階においても、実行段階においても、
- 本当に達成したいゴールは何なのか? どうすれば魅力的なゴールになるのか?
- どんな作業を、どういう順番で行うことが、プロジェクトにとって一番良いのか?
- どの課題から取り組み、どのような解決策を実行すると、最善の結果を得られるのか?
などを、まずは、自分の頭で真剣に考える必要があります。
良いアイデアは、会議の場だけで(少しの時間考えただけで)出てくるものではありません。
アイデア出しは、会議の場でするもんじゃないの!?
と思われたかもしれませんが、
会議という限られた短い時間だけで良いアイデアを出す方が難しいです、、、(良いアイデアを短い時間で出せる人は、本当の天才です!)
良いアイデアを100%ずっと考え続けることは難しいですが、頭の片隅で数%でも良いので、考え続けることで、良いアイデアは生まれます。
良いアイデアを、頭の片隅でも良いので、考え続けると、
「こうすれば良いかも!」「このアイデア使えるかも!!」「これはイケるぞ!!!」
というアイデアが降ってくるものですので、良いアイデアが浮かんだら、その都度、メモに書き留めておくことが大切です。
本当に不思議なことですが、良いアイデアは、真剣に考えている最中は全然出てきてくれず、頭の片隅で少し考えながら別なことをしているときなどに、浮かんできますので、頭の片隅で数%でも良いので、考え続けることが大切です!
自ら人を説得し、人に動いてもらうこと
一人一人が「主体性」を発揮するということは、各プロジェクトメンバーが「自ら人を説得し、人に動いてもらう」ということです。
プロジェクトの計画段階においても、実行段階においても、
- お客様、現場の方々の要望を吸い上げるために、意見を集約してもらうこと
- お客様、現場の方々の現状を把握するために、ヒアリングの時間を作ってもらうこと
- お客様、現場の方々に、試作品を使ってもらい、フィードバックをもらうこと
など、プロジェクトでは、お客様、現場の方々を含む、多くの関係者に協力を依頼して、何かしらの行動をしてもらう必要があります。
関係者の協力を得られなければ、プロジェクトゴールは達成できません。
お客様、現場の方々を含む、多くの関係者に協力を依頼して、何かしらの行動をしてもらうには、きちんとした説明(説得)と、少しでも負担をかけないような最大限の配慮、および、協力してもらったことに対する感謝が、必要不可欠です!
なぜ、一人一人が「主体性」を発揮することが大切なのか?
なぜ、一人一人が「主体性」を発揮することが大切なのか?というと、
- 待っていても、欲しい情報は手に入らないから
- 各自が真剣に考えるからこそ、良いアイデアが生まれるから
- 淡い期待を抱いても、人は動いてくれないから
です。
待っていても、欲しい情報は手に入らないから
一人一人が「主体性」を発揮しないで、欲しい情報を待っているだけでは、欲しい情報は手に入りません。
欲しい情報が、向こうからやってくることは、十中八九、ありません。
お客様や現場の方々に対して、
「何かプロジェクトに対する意見や要望があれば言って下さいね!」
と言って、放置していたら、
「数日後に、どんどん意見や要望が寄せられた!!」
ということは、見たことも聞いたこともありません、、、(泣)
お客様には、お客様の仕事が、現場の方々には、現場の方々のやるべきことがありますので、一方的に依頼しただけで、時間や労力を割いて意見や要望を考えてもらう方が難しいです。
お客様や現場の方々の要望や困りごと、現状を把握したいのなら、迷惑が掛からないように、最大限の配慮をしたうえで、直接聞きに行き、欲しい情報を自ら手に入れるしかありません!
各自が真剣に考えるからこそ、良いアイデアが生まれるから
プロジェクトは、意思決定の連続で、計画段階においても、実行段階においても、「ゴール」や「プロジェクト計画」、「課題解決策」などを、考え続ける必要があります。
一人一人が「主体性」を発揮しないで、考えることを他人任せにしていては、良いアイデアは生まれません。
各プロジェクトメンバーが
「誰かが、良いアイデアを持ってきてくれるやろ!」
と思いながら過ごしていれば、いざ、アイデア出しの会議をしても、その場で考えた思い付きのアイデアしか出てこなくなります、、、
思い付きのアイデアをどれだけ集めても、
- 全員がワクワクするような魅力的なゴール
- 誰もが納得するようなプロジェクト計画
- これしかないと思える課題解決策
などは、生まれません。
頭の片隅でも良いので、各自が真剣にアイデアを考え続けたうえで、アイデアを出し合い、意見交換や議論を行うからこそ、良いアイデアは生まれます!「考える」ことは能動的に行うもので、一人一人の「主体性」を発揮すべきところです!
淡い期待を抱いても、人は動いてくれないから
一人一人が「主体性」を発揮しないで、淡い期待を抱いても、人は動いてくれません。
お客様や現場の方々に対して、
「今度、試作品を送っておくので、使ってみて、フィードバックを纏めて送って下さいね!」
と一方的に言うだけでは、実際に、試作品を使ってもらうことも、もし、使ってもらえたとしても、試作品のフィードバックを纏めてくれることも、ありません。
- まずは、なるべく負荷を掛けないで、試作品を使ってもらえるように段取りをすること
- 試作品は、現状と比較して何が変わって、どこに着目して使って欲しいか説明すること
- フィードバックして欲しい項目をまとめ、簡単に回答してもらえるように準備すること
など、一人一人が「主体性」を発揮することで、協力してもらい易くすること、人に動いてもらい易くすることが大切です。
人に動いてもらうには、まずは、自ら動くことが基本中の基本です!「どうすれば、協力してくれるのか?」「相手のメリットは何か?」などを考えて、人に動いてもらい易くするために、段取りやお膳立てをすることが大切です!
どのように、一人一人が「主体性」を発揮すると良いのか?
どのように、一人一人が「主体性」を発揮すると良いのか?というと、
- プロジェクトゴールを完全に明確にする
- プロジェクトメンバーの役割分担を明らかにする
- プロジェクトルールとして明示する
と良いです。
プロジェクトゴールを完全に明確にする
各プロジェクトメンバーに「主体性」を発揮してもらうには、何よりもまず、「プロジェクトゴールを完全に明確にする」必要があります。
ゴールが完全に明確でなければ、一人一人が「主体性」を発揮しようがありません、、、
「ゴールは何で、一体どこを目指して動けば良いのか!?」
という状態では、動きたくても動けません、、、
『2-1.自分の人生を生きるには、何よりもまず人生のゴールを完全に明確にすること』の記事でも書いている通り、
ゴールを完全に明確にするには、下記の5つの要素を満たす「SMART(スマート)なゴール」にする必要があり、
- Specific(具体的):曖昧さがなく、誰が読んでも分かること
- Measurable(測定可能):達成できたかどうか、確認できること
- Attractive(魅力的):考えただけで、ワクワクすること
- Realistic(現実的):現実的に考えて、達成可能なこと
- Time-bound(期限):期限が明確であること
ゴールを完全に明確にしてから、一人一人に「主体性」を発揮してもらうことが大切です。
各プロジェクトメンバーの一人一人が「主体性」を発揮する際には、すべての「主体性」は、プロジェクトゴールを達成するために、発揮されるべきなので、何よりもまず、プロジェクトゴールを完全に明確にすることが求められます!
プロジェクトメンバーの役割分担を明らかにする
また、各プロジェクトメンバーに「主体性」を発揮してもらうには、「プロジェクトメンバーの役割分担を明らかにする」必要もあります。
プロジェクトゴールが完全に明確になった後、そのゴールを達成するために、各プロジェクトメンバーに役割(具体的に「何を」「いつまでに」するかなど)が割り振られます。
そして、各プロジェクトメンバーは、その明らかになった役割(「何を」「いつまでに」するか)に基づいて、一人一人が「主体性」を発揮して、期日までに役割を果たせるようにします。
たまに、
「プロジェクトゴールを達成するために、やれることは何でもやって!」
というような指示が出されているのを聞きますが、やはり役割分担は必要で、
役割分担が無ければ、
「あれ、それもう、こっちでやってますけど、、、」
というような作業の重複(ムダな作業)が発生したり、
「えっ、この作業は誰も手を付けてないの!?」
というような作業の抜け漏れも発生してしまい、プロジェクトメンバーが混乱してしまいます、、、
一人一人が「主体性」を発揮すると言っても、各自がバラバラに動いては、意味がありません、、、。同じゴールを目指し、役割分担を明らかにしたうえで、一人一人が「主体性」を発揮してこそ、プロジェクトチームが機能します!
プロジェクトルールとして明示する
そして、各プロジェクトメンバーに「主体性」を最大限に発揮してもらうには、「プロジェクトルールとして、明示する」ことが効果的です。
プロジェクトを始める段階で、プロジェクトルールとして、
- 本プロジェクト内では、一人一人が「主体性」を発揮すること
- 自ら情報を取りに行き、自分の頭で真剣に考え、自ら人を説得して人に動いてもらうこと
- 決して待たないこと、他人任せにしないこと、淡い期待を抱かないこと
- 「主体性」を発揮しているメンバーを称賛し、「主体性」を発揮していない場合は、役職や立場、年齢など関係なく、「主体性」を発揮するように促すこと
などを決めて、プロジェクトメンバーおよび、社内外のプロジェクト関係者に周知すると良いです。
プロジェクトマネージャーから、社内外のプロジェクト関係者(お客様や現場の方々)に対して、
今回、「主体性」を発揮することをプロジェクトルールとしてるから、うちの若手メンバーから、どんどん質問やヒアリングの依頼が来ると思うけど、対応お願いしますね!(もし、負荷が掛かり過ぎたら、コソッと教えてくださいね!)
などと周知しておくと、より一人一人が「主体性」を発揮しやすくなります。
「主体性」は、一人で発揮するだけでは効果が出にくい(その人のモチベーションも維持できない)ので、プロジェクトルールとして、チーム全体で「主体性」を発揮することで、大きな効果を出す(チームの士気を高める)ことが大切です!
まとめ
- 一人一人が「主体性」を発揮するとは、自ら情報を取りに行き、自分の頭で真剣に考え、自ら人を説得して人に動いてもらうこと
- 一人一人が「主体性」を発揮するには、ゴールを完全に明確にし、役割分担を決めて、プロジェクトルールとして明示すること
プロジェクトメンバーの一人一人が「主体性」を発揮することで、プロジェクトは、ゴールの達成に向けて、突き進んで行くことができるようになります。
各プロジェクトメンバーの一人一人に「主体性」を発揮してもらうには、環境を整えることが必要不可欠で、一番肝心なのは、「主体性を発揮しても良い!」「むしろ、主体性を発揮しなければダメだ!」と実感してもらうことです。
各プロジェクトメンバー一人一人が「主体性」を発揮して、活き活きとプロジェクトゴール達成に向けて自ら行動することで、プロジェクトが円滑に進むようになり、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!