『6-1.なぜ、「プロジェクト」を成功させることは難しいのか?』の記事では、
- 「プロジェクト」とは、「ゴール(目標)を達成するための計画」であり、基本的に「複数人で中長期的に実行するもの」であること
- 「プロジェクト」は、期限があり、不確実性がつきもので、全く同じものが一つとしてなく、利害関係者(ステークホルダー)が多いから成功させることが難しいこと
をお伝えしました。
今回から複数の記事で、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の1つ目は、
・「魅力的なゴール」を設定する
です。
「プロジェクト」を成功させるには、「魅力的なゴール」が必要不可欠です。 「プロジェクトのゴールをいかに魅力的にするか?」「誰もが達成したいと思えるものにできるか?」 が「プロジェクト」のゴールを達成できるか否かを分けると言っても過言ではありません!
目次
「魅力的なゴール」を設定するとは?
「魅力的なゴール」を設定するとは、「プロジェクト」の
- ゴールを完全に明確にして、かつ、魅力的なものにすること
です。
ゴールを完全に明確にして、かつ、魅力的なものにすること
「プロジェクト」を成功に導くには、「魅力的なゴール」を設定する必要があります。
そもそも、「プロジェクト」のゴールって何? どういう意味!?
と思われたかもしれませんが、
- 「プロジェクト」のゴールとは、最終的に「プロジェクト」で達成したいこと
であり、この「プロジェクト」のゴールを達成すること=「プロジェクト」の成功と言えます。
プロジェクトメンバーが、どれだけ頑張って、どれだけ苦労したとしても、「プロジェクト」のゴールを達成できなければ、その「プロジェクト」は失敗したと評価されてしまいます、、、
すべては「プロジェクト」のゴールを達成するために、複数人で協力して計画を立て、役割分担をして、それぞれが計画に基づいて実行して、途中で発生する困難な課題(解決すべき問題)、予想外の問題、急な計画変更などにも試行錯誤しながら、一致団結して乗り越えていくことになります。
その複数人で協力して達成することを目指す「プロジェクト」のゴールは、まずは、完全に明確でなければなりません。
「プロジェクト」のゴールが完全に明確でないと、
一体、何を(どこを)目指したら良いんやろ、、、。ゴールが曖昧で、良く分からへん、、、。一応、ゴールは設定されてるけど、色んな解釈できるで、、、
というように、プロジェクトメンバーが混乱してしまいます。
プロジェクトメンバーが混乱してしまっては、一致団結することは、到底できません、、、
『2-1.自分の人生を生きるには、何よりもまず人生のゴールを完全に明確にすること』の記事でもご紹介しているのですが、
・「ゴールを完全に明確にすること」=「ゴールを超具体的にすること」=「SMART(スマート)なゴールを設定すること」
となります。
「SMART(スマート)なゴールを設定する」ってどういうこと!?
と思われたかもしれませんが、
「SMART(スマート)なゴールを設定する」とは、
- Specific(具体的):曖昧さがなく、誰が読んでも分かること
- Measurable(測定可能):達成できたかどうか、確認できること
- Attractive(魅力的):考えただけで、ワクワクすること
- Realistic(現実的):現実的に考えて、達成可能なこと
- Time-bound(期限):期限が明確であること
の5つの要素を満たしたゴールを設定することです。
5つの要素を満たしたゴールを設定することができれば、ゴールが完全に明確になり、プロジェクトメンバー間で、認識のズレが無くなります。
そして、5つの要素のうち、一番重要な要素がAttractive(魅力的)であり、「プロジェクト」のゴールは、
- 「プロジェクト」のゴールを達成できた(現状を大きく変えることができた)後のことを考えると、ワクワクする!
- 「プロジェクト」のゴールを達成しようとする過程が、そもそもワクワクして面白い!
- 何があっても、どんな手段を使っても、「プロジェクト」のゴールを絶対達成したい!
などと、プロジェクトメンバーの誰もが魅力的と思えるものにすることが大切です。
人は「感情の生き物」で、「感情」によって人は動かされます。「ゴールを達成できたら、現状が大きく変わる!」「ゴールを達成しようとするのが面白い!」というワクワクする「感情」をプロジェクトメンバーから引き出すことが出来れば、「プロジェクト」のゴールの達成に向けて、一致団結して突き進めます!
なぜ、「魅力的なゴール」を設定することが大切なのか?
なぜ、「魅力的なゴール」を設定することが大切なのか?というと、
プロジェクトメンバーにとってゴールが魅力的でないと、
- 一致団結して、大きな困難を乗り越えていけなくなるから
です。
一致団結して、大きな困難を乗り越えていけなくなるから
「プロジェクト」のゴールを達成するには、ゴールが完全に明確であり、プロジェクトメンバー全員が、常にゴールを意識しつづける必要があります。
そのゴールが魅力的でなければ、プロジェクトの途中で大きな課題(解決すべき問題)にぶち当たったとき、予想外の問題が発生したとき、大幅な計画の見直しが必要になったときなどに、
プロジェクトメンバーを奮起させ、そして、プロジェクトメンバーが一致団結して、大きな困難を乗り越えていくことができなくなってしまいます、、、
ゴールが魅力的でなければ、
「あれ?何のためにこんな大変なことしてるんだっけ?」「うん?ここまでの苦労をしてまで、達成したいことって何だっけ?」
という疑問がプロジェクトメンバーに生じた際に、
「これ以上、大変な想い、苦労をしてまで達成したいことではないな、、、」
と思ってしまい、「プロジェクト」のゴールを達成することに対する意欲が急激に下がってしまいます。
そして、あるメンバーの意欲が低下すると、それは大変で辛い想いをしている他のメンバーにもすぐに伝播し、瞬く間にプロジェクト全体に広がってしまいます、、、
「絶対にゴールを達成してやる!」「この大きな困難を乗り越えてやる!!」
という前向きな感情も、周りに伝播するものですが、
「これ以上頑張れない、、、」「もうムリ、、、」「手を抜こう、、、」
という後ろ向きな感情の方が、周りに伝播するのが速いです。
一度「プロジェクト」の士気が下がり始めると、ぐんぐん下がっていく一方で、「プロジェクト」の成功(=ゴールの達成)からどんどん遠ざかってしまいます。「プロジェクト」の士気を高めて、それを維持するためにも、「プロジェクト」では、「魅力的なゴール」を設定することが必要不可欠です!
どのように、「魅力的なゴール」を設定すると良いのか?
どのように、「魅力的なゴール」を設定すると良いのか?について
- 「業務改善プロジェクト」の場合
を具体例にして解説していきます。
「業務改善プロジェクト」の場合
「プロジェクト」を成功に導くには、ゴールを完全に明確にして、かつ、「魅力的なゴール」を設定する必要がありますが、
現実では、ゴールを魅力的にすることがあまり重要視されていません、、、
例えば、「業務改善プロジェクト」では、
ゴールは、業務を現状より良くすること。これ以上でも、これ以下でもない。ゴールについて、あれこれ考える暇があったら、「どうやったら業務を現状より良くできるか?」を考えなさい!
と言われたりします。
ゴールが魅力的ではないどころか、曖昧なものであった場合、プロジェクトメンバーのモチベーションが高くなる訳もありませんし、
ゴール自体が曖昧なので、やることも曖昧で、達成したかどうかも曖昧なまま終わることがほとんどです。
それでは、プロジェクトメンバーの貴重な時間やエネルギー(気力と体力)がムダになってしまいます、、、
「業務改善プロジェクト」では、
【ゴール】
- 半年以内に、営業職全員の事務作業時間を「3%」削減すること
【補足説明】
- 「3%」とは、1日7.5時間(450分)のうちの「13.5分」のこと。1週間で「67.5分」、1ヶ月で「約4.5時間(270分)」、1年で「約54時間(7.2日)」のこと。
- 営業職100人では、1年で「約5400時間(720日)」分の削減のこと
というように、まずは、ゴールを完全に明確にする必要があります。
ゴールの設定において、「営業職」や「事務作業の削減」という前提条件も明確にすることで、「業務改善」すべき対象が明確になり、「どうすれば業務を現状より良くできるか?」という施策も具体的に考え易くなり、複数人で議論する際も、論点が明確になります。
また、「いつまでに(半年以内に)、誰の(営業職の)、何を(事務作業時間)、どうするのか(3%削減する)」ということを具体的にし、
「事務作業時間」は測定可能であり、「3%の削減」は現実的であり、「半年以内」という期限も明確にしています。
(『5-1.短時間で成果を残すには、高生産性を追求すること』の記事でも書いているのですが、改善では「3%」の削減、改革では「30%」の削減を目標にすることが一つの指標になっています)
更に、補足説明により、
- 「3%」の削減がどれほどのインパクトがあるのか?
- 営業職100人では、1年間で「約5400時間(720日)」分の削減にもなる!!
ということを明確にすることで、
中長期的な視点で見ると、「3%」でも削減できれば、営業全体で経営に大きな貢献ができる「やりがいがあるプロジェクト」である!
というように、ゴールが魅力なものであることを伝えることができます。
ぜひ、あなたも、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどの「プロジェクト」を推進する立場であれ、「プロジェクト」を支えて実行するプロジェクトメンバーの立場であれ、
「プロジェクト」に参画した場合は、
- 「プロジェクト」のゴールがそもそも完全に明確になっているか?
- そして、ゴールが魅力的なものになっているか?
ということをチェックしてみてください!
もし、「プロジェクト」のゴールが曖昧なものであったり、魅力的ではない場合、「プロジェクト」のゴールを達成できなかったり、達成するのに、非常に多くの時間やエネルギー(気力と体力)、そして、お金や人も必要になりますので、
「プロジェクト」のゴールを完全に明確にするように、魅力的なものになるように、提言してみることが大切です。
立場によっては、勇気が必要かもしれませんが、「魅力的なゴール」を設定することが『プロジェクトを成功に導く秘訣』ですので、勇気を振り絞って、優しく、角が立たないように
「プロジェクト」のゴールがちょっとふわふわしている気がするんですけど、皆さんいかがでしょうか?
や
「プロジェクト」のゴールをもっと皆が「プロジェクト」に進んで参加したくなるような、ワクワク感が欲しい気もするのですが、いかがでしょうか?
などと投げかけてみてください!
「プロジェクト」のゴールは、何よりも大切なので、「プロジェクト」のゴールを完全に明確にすることと、魅力的なものにすることには、徹底的にこだわってください! 「プロジェクト」のゴールを完全に明確で、かつ、魅力的なものにすることが、『プロジェクトを成功に導く秘訣』でも一番重要です!
まとめ
- プロジェクトの士気を高め、プロジェクトを成功に導くためには、「魅力的なゴール」を設定することが必要不可欠であること
- まずは、ゴールを「SMART(スマート)なゴール」にして、完全に明確にすること
- そして、ゴールを「誰もが絶対達成したい!」と思える魅力的なものにすること
あなたが参画している「プロジェクト」において、「魅力的なゴール」を設定することで、「プロジェクト」の士気が高まること、誰もがワクワクしながら「プロジェクト」に取り組めるようになること、そして、「プロジェクト」のゴールを達成できることを、心から願っています!
「プロジェクト」のゴールを達成できることは、本当に達成感のあることで、大きな自信にもつながります。
あなたが、「プロジェクト」を成功に導けるようになり、「プロジェクト」のゴールを達成できるようになることで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!