「3-13.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(9)天命を全う(まっとう)する」の記事に引き続き、
心をフロー状態、すなわち、「揺らがず」「捉われず」、あるがままで自然な心の状態に保つのに、役立つ考え方をご紹介します。
それは
・先義後利(せんぎこうり)
という考え方です。
先義後利(せんぎこうり)とは?
先義後利(せんぎこうり)とは、
- 道義を優先させ、利益を後回しにすること
- 「義」は人として当然あるべき道の意味で、「利」は利益のこと
です。
ビジネスで言うと、
・お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った報酬(利益)を受け取ること
になります。
もう、当たり前と言えば、当たり前過ぎるぐらいなのですが、この当たり前のことが出来ていないことも非常に多いです。
企業は、利益を得られなくなると潰れてしまいます。
そして、企業は、毎年、「利益を増やすこと」=「事業規模を大きくすること」を目指しています。
企業に勤めている誰しもが、何かしらの形で、「企業が利益を得ること」に貢献することを求められます。
毎年、企業が目指す「利益目標」が「おっ、今年は楽やな」とか「今年は、ほぼ何もしなくても達成できるな」と言える数字であることは、まず、ありません。
「えっ、ここまで高い目標にする!?」「こんなん到底不可能やわ、、、」と言える数字であることが、ほとんどです。
もちろん、私もそうです(泣)。
企業は、時代が急激に移り変わる中で、厳しい競争を強いられているので、当然と言えば当然ですが、厳しい利益目標を与えられたとき、人の心は、利益を得ることに捉われ、利益を逃しそうになると、グラグラ、ガクガク、揺れ動きます。
特に、現在はコロナ禍で、経営状況もより一層厳しいものになっていますので、企業は、より一層利益を得ることに必死になり、企業で働く従業員にも、それが強く求められます。
利益を得ることを強く求められるほど、人の心はより一層利益を得ることに捉われ、利益を逃しそうになったとき、心はガタガタ揺れ動き、必死に「その利益を逃すまい!」と考え、行動するようになります。
そのとき、「お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った報酬(利益)を受け取る」という当たり前のことが、忘れ去られてしまいます。
先義後利(せんぎこうり)という、ビジネスを行う上で、本当に重要な考え方ができなくなってしまいます。
なぜ、先義後利(せんぎこうり)が大切なのか?
なぜ、先義後利(せんぎこうり)が大切なのか?というと、
- 利益を得ることに、心が捉われること、心が揺れ動かされることを防げるから
- ビジネスの本質である、「お客様に価値を提供すること」に集中することができるから
です。
利益を得ることに、心が捉われている、心が揺れ動かされている状態では、自身の最高のパフォーマンスを発揮することができなくなり、お客様に最高の価値を提供できなくなります。
自身の最高のパフォーマンスを発揮し、お客様に最高の価値を提供できるのは、心が「揺らがず」「捉われず」あるがままで自然な状態、すなわち、フロー状態に保たれているときです。
利益を得ることに、心が捉われている、心が揺れ動かされている状態では、
- とにかく買って欲しい(とにかく利益を得たい)
- すぐにでも買って欲しい(すぐにでも利益を得たい)
- 何としてでも買って欲しい(絶対に利益を逃したくない)
という考えに基づいて行動してしまうので、お客様に対して提供される価値がどんどん少なくなってしまいます。
当たり前ですが、お客様は
- きちんと納得して買いたい(その商品、サービスでなければならない理由に納得した上で、対価を払いたい)
- 必要なタイミングで買いたい(一番効果が高いタイミングで、商品やサービスを導入したい)
- 不要なものは絶対に買いたくない(買ってから絶対に後悔したくない)
と考えていますので、購入を急かされるほど、強要されるほど、感情に訴えかけられるほど、購入するのをためらってしまいます。(購入したくなくなります)
今一度、「お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った報酬(利益)を受け取る」という当たり前のことを思い出し、利益を得ることに、心が捉われること、心が揺れ動かされることを防ぎ、
- どうすれば、お客様により大きな価値を提供できるのか?
- どうすれば、お客様が最高に喜んでくれるのか?最高に満足してもらえるのか?
- お客様に価値を提供できていない理由は何なのか?どうすれば、改善できるのか?
という考えに基づき、行動を起こすことで、まずは、お客様に対する価値提供を行うことに集中することが大切です。
どのようにして、先義後利(せんぎこうり)を実践すれば良いか?
どのようにして、先義後利(せんぎこうり)を実践すれば良いか?というと、
まずは、
・「利益を得られていない」ということは、「お客様に対する価値提供ができていない」ということを、改めて認識すること
です。
利益を得られていないとき(売上があがらないとき)に、
「ちゃんと営業活動してるんか?」「広告や宣伝が足りなかった(悪かった)のでは?」「商品やサービスの品質に問題があったのでは?」
など、自社内で犯人捜しをしてしまうことがありますが、(社内で延々と会議がされることがありますが)本来、議論の中心にはお客様がいるべきで、社内で
- 営業部門に、活動内容をヒアリングし、改善点を検討する
- 広告・宣伝部門に、掲載内容をヒアリングし、改善点を検討する
- 商品やサービスの提供部門に、提供内容をヒアリングし、改善点を検討する
のではなく、お客様に直接、
- どんな課題をもち、どんな価値を提供して欲しいのか?をヒアリングし、改善点を検討する
- どんなところに不満をもち、どのように改善して欲しいのか?をヒアリングし、改善点を検討する
- どのような商品やサービスであれば買っても良いと思えるのか?をヒアリングし、改善点を検討する
ことが大切です。
何よりもまず、お客様に直接話を聞いて、お客様のことを知ることが重要です。
もし、お客様に直接話を聞けない場合は、お客様が発信しているありとあらゆる情報に目を通し、少しでもお客様のことを深く理解することです。
社内で色々議論するのは、お客様に直接話を聞いて、(無理なら調べれるだけ調べて)お客様のことを知った後です。
順番を間違えてはいけません。
お客様のことをきちんと知ってこそ、理解してこそ、お客様に対して、価値提供ができるようになります。
「お客様に対する価値提供ができていないこと」「お客様に対する理解ができていないこと」を改めて認識し、お客様に直接話を聞き、お客様のことを調べ、お客様のことを知ったうえで、
次にすることは、利益を得ることをグッと我慢することです。
お客様のことを知れば知るほど、改善点や課題(解決すべき問題)がたくさん出てきます。
まずは、それらの改善点や課題を解決し、お客様に最高の価値を提供できるようになることです。
利益を得ることを焦ってはいけません。急いではいけません。
お客様に最高の価値を提供できるようになり、実際にお客様に最高の価値を提供してから、そして、お客様に最高に満足してもらってから、利益を得ることができます。
ビジネスについて、書いてきましたが、これはプライベートでも言えることです。
もし、大好きな人、大切な人、愛する人が、不満そうにしているなら、それは、価値提供ができていないからです。
私は、妻が不満そうにしている場合、まずは、何について不満に感じているのかを直接聞いて、それを改善するようにしています。
直接聞くのが無理なときは、もう、ありとあらゆることをするしかありません。
掃除、洗濯、料理に、子供の面倒を見る、ケーキを買って帰る、少しでも早く仕事を終わらせて、少しでも帰宅するなど、自分にできるありとあらゆること(価値提供)を必死にやって、不満を解消します。
「それは、尻に敷かれてるのでは?」って思われたかもしれませんが、そんなことはありません、、、。
・
・
・
すいません、正直に言います。尻に敷かれています。もう、むちゃくちゃ敷かれています!
というより、むしろ、自分から敷かれに行っています(笑)。
まとめ
- 先義後利(せんぎこうり)とは、道義を優先させ、利益を後回しにすること
- ビジネスで言えば、お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った報酬(利益)を受け取ること
- お客様へ価値を提供するには、まず、お客様のことを知ること。次に、利益を得るのを、グッと我慢すること。先に、お客様へ価値を提供できるようになり、実際に、価値を提供すること。
先義後利(せんぎこうり)という考え方により、利益を得ることに、心が捉われること、心が揺れ動かされることを防ぎ、きちんとお客様へ価値を提供できるようになることで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!
- 3-25.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(21)相手の感情に流されない
- 3-24.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(20)いつからでも何回でもやり直せる
- 3-23.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(19)逆境を喜ぶ
- 3-22.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(18)一人でもゼロからでも何とかする
- 3-21.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(17)今いる人、今あるモノに感謝する
- 3-20.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(16)気にしたら負け
- 3-19.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(15)好きとか嫌いとか関係ない
- 3-18.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(14)半分冗談・半分本気
- 3-17.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(13)謙虚・懸命・堅実に生きる
- 3-16.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(12)人をコントロールしない
- 3-15.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(11)すべては自分の責任
- 3-14.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(10)先義後利(せんぎこうり)
- 3-13.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(9)天命を全う(まっとう)する
- 3-12.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(8)みんなミジンコ
- 3-11.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(7)マイノリティで良い
- 3-10.心をフロー状態に保つのに役立つ考え方(6)ストレスと友達になる
- 3-9.心をフロー状態に保つ考え方(5)「セルフ・コンパッション」
- 3-8.心をフロー状態に保つ考え方(4)速かならんと欲することなかれ
- 3-7.心をフロー状態に保つ考え方(3)超マイナス思考で備える
- 3-6.心をフロー状態に保つ考え方(1)失敗促進 (2)「ハッハッハッ」と笑い飛ばす
- 3-5.心をフロー状態に保つには、どうすれば良いのか?
- 3-4.心を最高の状態に保つには、心をフロー状態に保つこと
- 3-3.心を最高の状態に保つには、「自分の心の状態は、自分で決める」こと
- 3-2.心を最高の状態に保つには、「結局、最後はうまくいく」と思い込むこと
- 3-1.心を最高の状態に保つには、「自分がどんな人間か」は自分で決めること
これは、大丸の創業者である下村彦右衛門さんが、1736年に中国の儒学の祖の一人である荀子の「義を先にして利を後にする者は栄える」から引用して定めた経営理念として知られています。本当に良い考え方で、昔から変わらない不変の真理と言えます!