『3-13.心をフロー状態に保つ考え方(9)「天命」を全う(まっとう)する』の記事では、
- 『「天命」を全う(まっとう)する』と考えることで、「いつ死ぬのか?」など将来に対する漠然とした「不安」や「悩み」を解消して欲しいこと
- 『天が「必要なときに、必要な人やモノと巡り合わせてくれる」』と考えることで、目の前にいる人やモノと向き合い、心から大切にして欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて複数の記事で、心を「揺らがず」「捉われず」あるがままで自然な状態=フロー状態に保つ考え方をご紹介しますが、
心をフロー状態に保つ方法や考え方に絶対的な正解はなく、どんな方法、どんな考え方でも自分が「心をフロー状態に保つ」ことができればそれで良いので、ぜひ、あなたに最適な方法、考え方で心をフロー状態に保ち、常に、自分の能力を最大限に発揮してください!
本記事では、『心をフロー状態に保つ考え方』の10個目である
・先義後利(せんぎこうり)
という考え方をご紹介します。
これは、百貨店である『大丸』の創業者である下村彦右衛門さんが、1736年に中国の儒学の祖の一人である荀子の『義を先にして利を後にする者は栄える』から引用して定めた経営理念として知られていますが、本当に良い考え方で、昔から変わらない「不変の真理」と言えます!
目次
「先義後利(せんぎこうり)」とは?
「先義後利(せんぎこうり)」とは、ビジネスで言うと、
- お客様への価値提供を先に行い、後から対価を受け取ること
です。
お客様への価値提供を先に行い、後から対価を受け取ること
「先義後利(せんぎこうり)」って聞いたことないけど、詳しくはどういう意味!?
と思われたかもしれませんが、
「先義後利(せんぎこうり)」とは、
- 道義を優先させ、利益を後回しにすること
- 「義」は人として当然あるべき道の意味で、「利」は利益のこと
となります。
ビジネスで言うと、
・お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った対価(利益)を受け取ること
と言えます。
価値提供を行ってから、対価(利益)をもらうのは、当たり前では、、、?
と思われたかもしれませんが、
本当に、当たり前のことなのですが、この当たり前のことが出来ていないことも、非常に多いのが現実です。
企業は、利益を得られなくなると潰れてしまいますので、毎年、「利益を増やすこと」=「事業規模を大きくすること」を目指しています。
企業に勤めている誰しもが、何かしらの形で、「企業が利益を得ること」に貢献することを求められており、
毎年、企業が目指す「利益目標」が
「おっ、今年は楽勝やな!」「今年は、ほぼ何もしなくても達成できるな!」
などと言える、容易な目標であることは、皆無で、
「えっ、ここまで高い目標にする!?」「こんなん到底不可能やわ、、、」
などと思わず絶句してしまう数字であることが、ほとんどです、、、
もちろん、私もそうです(泣)
企業は、時代が急激に移り変わる中で、厳しい競争を強いられているので、当然と言えば当然ですが、厳しい「利益目標」を与えられたとき、人の心は、利益を得ることに捉われ、利益を逃しそうになると、グラグラ、ガクガク、激しく揺れ動きます。
特に、現在はコロナ禍で、経営状況もより一層厳しいものになっていますので、企業は、より一層利益を得ることに必死になり、企業で働く従業員にも、それが強く求められます。
利益を得ることを強く求められるほど、人の心はより一層利益を得ることに捉われ、利益を逃しそうになったとき、心は激しく揺れ動き、必死に「その利益を逃すまい!」と考え、行動するようになります。
そのとき、「先義後利(せんぎこうり)」=「お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った対価(利益)を受け取る」という当たり前のことが、忘れ去られてしまいます、、、
ビジネスにおいて、「先義後利(せんぎこうり)」という当たり前のことが忘れ去られると、そのビジネスは間違いなく崩壊します。 少しの間はうまくいったとしても、永続することはなく、いつかは必ず破綻します、、、。 それほど「先義後利(せんぎこうり)」という考え方は大切であり、ビジネスの鉄則でもあります!
なぜ、「先義後利(せんぎこうり)」が大切なのか?
なぜ、「先義後利(せんぎこうり)」が大切なのか?というと、
- 「お客様に価値を提供すること」に集中することができるから
です。
「お客様に価値を提供すること」に集中することができるから
厳しい「利益目標」が与えられているからと言って、
- 利益を得ることに、心が「捉われている」状態
- 利益を逃しそうになると、心が激しく「揺れ動かされる」状態
では、自分自身の能力を最大限に発揮することは到底できず、お客様に最高の価値を提供することもできません。
自分自身の能力を最大限に発揮して、お客様に最高の価値を提供することができるのは、心を「揺らがず」「捉われず」あるがままで自然な状態=フロー状態に保てているときです。
利益を得ることに、心が「捉われている」状態、利益を逃しそうになると、心が激しく「揺れ動かされる」状態では、
「とにかく買って欲しい(とにかく利益を得たい)!」 「すぐにでも買って欲しい(すぐにでも利益を得たい)!」 「何としてでも買って欲しい(絶対に利益を逃したくない)!!」
という考えに基づいて行動してしまうので、お客様に対して提供される価値がどんどん少なくなります、、、
当たり前ですが、お客様は
- きちんと納得して買いたい(その商品やサービスでなければならない理由に納得した上で、対価を払いたい)
- 必要なタイミングで買いたい(一番効果が高いタイミングで、商品やサービスを導入したい)
- 不要なものは絶対に買いたくない(買ってから絶対に後悔したくない)
と考えていますので、提供される価値をないがしろにされ、購入を急かされるほど、強要されるほど、買いたくなくなります。(買うのをためらいます)
どれだけ厳しい「利益目標」が与えられていたとしても、
「先義後利(せんぎこうり)」=「お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った対価(利益)を受け取る」という当たり前のことを強く意識して、
利益を得ることに、心が捉われること、利益を逃さないようにと、心が揺れ動かされることを防ぎ、
- どうすれば、お客様により大きな価値を提供できるのか?
- どうすれば、お客様が最高に喜んでくれるのか?最高に満足してもらえるのか?
- お客様に価値を提供できていない理由は何なのか?どうすれば、改善できるのか?
という考えに基づいて行動することで、まずは、「お客様に価値を提供すること」に集中することが大切です。
毎年の「利益目標」(個人に求められる目標)が厳しいのは、とても良く分かりますが(痛いほど共感できますが)、まずは、ビジネスの本質である「お客様に価値を提供すること」に集中しなければ、対価(利益)を得られる訳もありません!
どのように、「先義後利(せんぎこうり)」を実践すれば良いのか?
どのように、「先義後利(せんぎこうり)」を実践すれば良いのか?というと、
- 何よりもまず、お客様のことを知る、少しでも深く理解する
- 利益を得ることを(利益が出るのを)グッと我慢する
と良いです。
何よりもまず、お客様のことを知る、少しでも深く理解する
「利益目標」を達成できていないとき、望むような利益を得られていないときに、まず、認識すべきことは、
・「利益を得られていない」ということは、「お客様に対する価値提供ができていない」ということ
です。
望むような利益を得られていないとき(売上があがらないとき)に、
「ちゃんと営業活動してるんか?」 「広告や宣伝が足りなかった(悪かった)のでは?」 「商品やサービスの品質に問題があったのでは?」
など、自社内で犯人捜しをしてしまうことがありますが、(社内で延々と会議がされることがありますが)
本来、議論の中心にはお客様がいるべきで、社内で
- 営業部門に、活動内容が問題なかったか?
- 広告・宣伝部門に、掲載内容が適切であったか?
- 商品やサービスの提供部門に、提供内容に不備がなかったか?
などをヒアリングして、改善点を検討するよりも前に、お客様に直接、
- どんな課題をもち、どんな価値を提供して欲しいのか?
- どんなところに不満をもち、どのように改善して欲しいのか?
- どのような商品やサービスであれば買っても良いと思えるのか?
などをヒアリングして、改善点を検討することの方が大切です。
何よりもまず、お客様に直接話を聞いて、お客様のことを知ること、
もし、お客様に直接話を聞けない場合は、お客様が発信しているありとあらゆる情報に目を通し、少しでもお客様のことを深く理解することが重要です。
社内で色々議論するのは、お客様に直接話を聞いて、(無理なら調べれるだけ調べて)お客様のことを知って、少しでも深く理解した後となります。
順番を間違えてはいけません。
お客様のことをきちんと知ってこそ、少しでも深く理解してこそ、お客様に対して、より良い価値提供ができるようになります。
お客様のことを置いてけぼりにして、社内で(自分たちだけで)色々議論しても、より良い価値提供ができるようにはなりません、、、。 可能な限り直接話を聞いて、ムリなら調べ尽くして、お客様のことを知り、少しでも深く理解することで、より良い価値提供が可能となります!
利益を得ることを(利益が出るのを)グッと我慢する
「利益目標」を達成できていないとき、望むような利益を得られていないときは、
- お客様に対する価値提供ができていないこと
- お客様に対する理解ができていないこと(理解が浅いこと)
を改めて認識し、
お客様に直接話を聞き、お客様のことを調べて、お客様のことを少しでも深く理解したうえで、
次にすることは、利益を得ることを(利益が出るのを)グッと我慢することです。
お客様のことを知れば知るほど、少しでも深く理解できるほど、改善点や課題(解決すべき問題)がたくさん出てきます。
まずは、それらの改善点や課題を解決し、お客様に最高の価値を提供できるようになることです。
利益を得ることを焦ってはいけませんし、すぐに利益が出ることを期待してもいけません。
お客様に最高の価値を提供できるようになり、実際にお客様に最高の価値を提供してから、そして、お客様に最高に満足してもらってから、利益を得ることができます。
『3-8.心をフロー状態に保つ考え方(4)速かならんと欲することなかれ』の記事でもご紹介しましたが、自分が行った取り組みに対する成果が出る(利益が得られる)ようになるまでには、取り組み続けてからかなりの時間経過が必要です。すぐに成果が出なくても(利益が得られなくても)焦らず、根気よく取り組み続ける(価値提供を続ける)ことが大切です!
ここまで、ビジネスについて書いてきましたが、プライベートでも同じことが言えます。
もし、大好きな人、大切な人、愛する人が、不満そうにしているなら、それは、価値提供ができていないからです。
私は、妻が不満そうにしている場合、まずは、何について不満に感じているのかを直接聞いて、それを改善するようにしています。
直接聞くのが無理なときは、もう、ありとあらゆることをするしかありません。
掃除、洗濯、料理に、子供の面倒を見る、ケーキを買って帰る、少しでも早く仕事を終わらせて、少しでも早く帰宅するなど、自分にできるありとあらゆること(価値提供)を必死にやって、不満を解消しています。
それは、つまり、尻に敷かれてるだけでは、、、?
と思われたかもしれませんが、そんなことはありません、、、。
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すいません、正直に言うと、尻に敷かれています! もう、むちゃくちゃ敷かれています!!
というより、むしろ、自分から敷かれに行っています(笑)
まとめ
- 「先義後利(せんぎこうり)」とは、道義を優先させ、利益を後回しにすること
- ビジネスで言えば、お客様への価値提供を先に行い、後から、それに見合った対価(利益)を受け取ること
- お客様へ価値を提供するには、何よりもまず、お客様のことを知ること。次に、利益を得るのを、グッと我慢すること。お客様を最高に満足させてから、対価(利益)を得ること
「先義後利(せんぎこうり)」という考え方により、利益を得ることに、心が捉われること、利益を逃さないようにと、心が揺れ動かされることを防ぎ、お客様に対する価値提供に集中できるようになることで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!