『6-5.プロジェクトを成功に導く秘訣(4)「プロジェクトルール」を決める』の記事では、
- 不要な「混乱」や「対立」を避け、「プロジェクト」を円滑に進めるためにも、そして、プロジェクトゴールを達成するためにも、「プロジェクトルール」を決めて欲しいこと
- 「プロジェクトルール」に、「いつ、誰に、どのように情報共有を行うか?」という「コミュニケーションルール」も盛り込んで、メンバー間での情報共有を徹底して欲しいこと
をお伝えしました。
今回の記事も含めて、具体的に『プロジェクトを成功に導く秘訣』について、詳しく解説しますので、あなたが日常生活で、仕事をするうえで、「使える!」と思ったものは、どんどん実践してみてください!
『プロジェクトを成功に導く秘訣』の5つ目は、
・意思決定の「納得感」を高める
です。
「プロジェクト」の士気を高め、プロジェクトメンバーのモチベーションを維持し、プロジェクトゴールを達成するためにも、意思決定の「納得感」を高めることが重要です! 誰も、全然納得できない意思決定がされる「プロジェクト」をやり遂げたいとは思わないですよね!?
意思決定の「納得感」を高めるとは?
意思決定の「納得感」を高めるとは、
- 複数の選択肢から、「納得感」の高い最善の選択を行うこと
です。
複数の選択肢から、「納得感」の高い最善の選択を行うこと
どのような「プロジェクト」であっても、「プロジェクト」では、多くの意思決定が求められます。
・「プロジェクト」は、意思決定の連続である
と言っても過言ではありません。
もう、「プロジェクト」の最初から最後までで、一体、何回意思決定せなアカンねん!?
と思わずツッコミを入れたくなるかもしれませんが、
そのぐらい、「プロジェクト」における意思決定の回数は多いです。
っで、そもそも「意思決定」ってどういう意味なん、、、?
と思われたかもしれませんが、
意思決定とは、ある状況において
・ゴール(目標)を達成するために、複数の選択肢から、最善の選択を行うこと
です。
「プロジェクト」では、意思決定を行うこと、すなわち、「複数の選択肢から、最善の一つを選択する」ということが何度も、何度も、何度も、、、ありますが、
その一つ一つの意思決定において
- 「確かに、この状況では、この選択がベストやな!」
- 「難しい選択やけど、これを選ぶしかないな!」
- 「ここは、当然この選択で良いな!!」
など、プロジェクトメンバーからも高い「納得感」が得られる最善の一手を選択することが大切です。
一つ一つの意思決定において、『いかに、プロジェクトメンバーからの高い「納得感」が得られるか?』によって、「プロジェクト」の士気が、プロジェクトメンバーのモチベーションが大きく異なります。一つ一つの意思決定で、「納得感」を高めることができれば、「プロジェクト」に良循環を起こすことが可能です!
なぜ、意思決定の「納得感」を高めることが大切なのか?
なぜ、意思決定の「納得感」を高めることが大切なのか?というと、
一つ一つの意思決定において、プロジェクトメンバーからの「納得感」が得られない場合は、
- メンバーの不満が蓄積し、更に、他のメンバーにも不満が伝播するから
です。
メンバーの不満が蓄積し、更に、他のメンバーにも不満が伝播するから
「プロジェクト」で、幾度となく繰り返される、一つ一つの意思決定において、
いやいやいや、なんでそれを選択するねん!?
とか
えっ!? それは、一部の人(部門)が得するだけでは、、、?
とか
もう、意味不明やわ。 中長期的な視点でみたら、絶対こっちの選択肢の方が良いのに、、、
など、プロジェクトメンバーからの「納得感」が得られない場合、納得していないプロジェクトメンバーの中に、不満が蓄積していくことになります。
「絶対、あの選択間違ってるわ、、、」などと思いながら作業をしていて、プロジェクトメンバーのパフォーマンスが向上するハズがありません、、、
また、不満を抱えているのが、1人であればまだマシですが、同じ不満を抱えているメンバーが複数人いる場合は、すぐに共感し合い、その不満は他のメンバーにも伝播していきます。
あるプロジェクトメンバーが、
実は、この前の意思決定には、納得できてないねん、、、
と、ポロっとこぼした言葉に対して、同じ不満を抱えているメンバーがいた場合は、
分かる!! やっぱり、この前の意思決定、絶対間違ってるやんな!?
というように、水を得た魚のように、共感し、話が盛り上がること間違い無しです(笑)
いや、笑いごとではまったくないのですが、不満(ネガティブな感情)ほど共感できた際に盛り上がるものはないのは事実です(泣)
最悪の場合、不満を抱えているメンバーが中心となり抵抗勢力が形成され、プロジェクトを進めていくことが難しくなることもあります、、、
「プロジェクト」の抵抗勢力が巨大になると、もう手が付けられなくなるので、(事態を収拾するのに、大きな時間とエネルギーが必要になり、通常のプロジェクト活動どころではなくなるので)抵抗勢力を生まないためにも、一つ一つの意思決定で、プロジェクトメンバーからの「納得感」を高めることが大切です!
どのように、意思決定の「納得感」を高めると良いのか?
「プロジェクト」の大きな流れとしては、
- 「プロジェクト」のゴールを(魅力的なものに)設定する
- ゴールと現状のギャップ=課題(解決すべき問題)を洗い出した後、課題の優先順位を決定する
- 優先順位の高い課題から、解決策を検討し、選択する
- 解決策を「誰が、いつまでに、どのような手順で実行するか」を計画する
- 計画に沿って実行する(※)
- 「プロジェクト」のゴールを達成する
(※)「(5)計画に沿って実行する」では、下記のことを行う
- 「計画通りに実行されているか?」進捗状況を管理する
- 「課題は解決されているか?新しい課題が発生していないか?」課題管理を行う
- 進捗状況が芳しくない場合、課題が解決されていない場合、新しい課題が発生した場合は、「(2)課題の優先順位を決め」「(3)解決策を検討・選択し」「(4)計画を修正し」「(5)再度、修正された計画に沿って実行する」ということを繰り返す
となります。
「プロジェクト」で行う大きな意思決定としては、
- ゴールの設定
- 課題の優先順位の決定
- 解決策の検討と選択
の3つとなり、それぞれで「納得感」の高い意思決定が求められますので、
1つ1つの意思決定において、どのように、意思決定の「納得感」を高めると良いのか?を詳しく解説していきます。
どのように「ゴールの設定」の「納得感」を高めると良いのか?
どのように「ゴールの設定」の「納得感」を高めると良いのか?というと、
- ゴールを「SMART(スマート)なゴール」にして、魅力的かどうかにこだわる
と良いです。
ゴールを「SMART(スマート)なゴール」にして、魅力的かどうかにこだわる
「ゴールの設定」を行う場合は、
『2-1.自分の人生を生きるには、何よりもまず人生のゴールを完全に明確にすること』の記事でも書いているのですが、
まずは、ゴールを下記の5つの要素を満たす
- Specific(具体的):曖昧さがなく、誰が読んでも分かること
- Measurable(測定可能):達成できたかどうか、確認できること
- Attractive(魅力的):考えただけで、ワクワクすること
- Realistic(現実的):現実的に考えて、達成可能なこと
- Time-bound(期限):期限が明確であること
「SMART(スマート)なゴール」にすることが大切です。
そして、ゴールを「SMART(スマート)なゴール」にして、完全に明確にしたうえで、
『6-2.プロジェクトを成功に導く秘訣(1)「魅力的なゴール」を設定する』の記事でも書いている通り、
ゴールが「Attractive(魅力的)かどうか?」に徹底的にこだわる
と良いです。
「プロジェクト」のゴールを、プロジェクトメンバーにとって、
「どんな手段を使っても、絶対、達成したい!」「このゴールの達成のためなら、どんな苦しいときでも頑張れる!」「これなら、辛いことでも耐えられる!!」
と言えるような、プロジェクトメンバー以外の利害関係者からも
「そのゴールは、ぜひとも、達成して欲しい!」「そのゴールの達成のためなら、できることは喜んで協力する!」「だから、いつでも相談して!!」
と言ってもらえるような、魅力的なものにできれば、「ゴールの設定」の「納得感」を高めることができたと言えます。
繰り返しになり申し訳ありませんが、「プロジェクト」では「ゴールの設定」が、「ゴールが完全に明確で、魅力的かどうか」が一番大切です。「プロジェクト」の最初で最大の難関である「ゴールの設定」の「納得感」を高めることができれば、プロジェクトの成功=プロジェクトゴールの達成に大きく近づきます!
どのように「課題の優先順位の決定」の「納得感」を高めると良いのか?
どのように「課題の優先順位の決定」の「納得感」を高めると良いのか?というと、
- 課題を抜け漏れなく洗い出す
- 課題の整理を行う
- 課題の優先順位を決定する
の3ステップを順番に実行すると良いです。
課題を抜け漏れなく洗い出す
「課題の優先順位の決定」の「納得感」を高めるには、
まず、ゴールと現状のギャップである課題(解決すべき問題)の洗い出しが必要です。
課題の洗い出しで抜け漏れが発生すると、
「あれ、なんかあの課題がそもそも抜けてない、、、?」
などの疑問が生じ、「課題の優先順位の決定」の「納得感」が損なわれてしまいます。
更に、優先順位が高い課題の解決策を検討している(もしくは、すでに解決策を実行している)場合でも、
「そう言えば、その課題って、検討したんやったけ、、、?」「検討したけど、解決しないことにしたのか、そもそも検討してないのかどっちやろ、、、?」
となり、「プロジェクト」を前に進めることができなくなり、出戻りも発生してしまいます。
課題の整理を行う
課題を抜け漏れなく洗い出した後は、課題の整理を行います。
課題の整理とは、重複している課題(表現は違えど同じことを言っている課題)を纏めたり、課題を分かり易いようにカテゴリ分けする作業になります。
課題の整理を行わないと、課題の優先順位を決定する際にも、
「この課題と、この課題は言ってること同じよね、、、」「課題が分類されてないから、課題数が多過ぎて、全体像がよく分からへん、、、」
となり、結局、「課題の優先順位の決定」が行き詰ったり、「納得感」の高い「課題の優先順位の決定」ができないことになります。
課題の優先順位を決定する
課題の整理を行った後、いよいよ課題の優先順位付けを行うことになりますが、ここで1点注意して欲しいことがあります。
それは、
・「プロジェクト」では、すべての課題は解決できない
ということです。
えっ!? 課題って解決すべき問題なので、全部解決しないとダメなのでは?
と思われたかもしれませんが、
「プロジェクト」には、期限、使える費用、メンバーの数などの制限があります。
もちろん、できる限り多くの課題を解決することが望ましいですが、時間にも、お金にも、人にも限りがあるので、プロジェクトゴールを達成するために、プロジェクト活動で最大の成果を残すために、課題に優先順位をつけて、優先順位の高いものから、課題を解決する必要があります。
そして、課題の優先順位をつけるうえでのポイントは、課題を
- 「プロジェクト」の期限内に、「絶対にやること」(完了させること)
- 「絶対にやること」を終えてから、「次にやること」(可能な限り完了させること)
- 今回の「プロジェクト」では、「やらないこと」(手を出さないこと)
の3つに分類することです。
特に、「プロジェクト」の期限内では、「やらないこと」(手を出さないこと)を明確にすることが大切で、
「やらないこと」を明確にすることで、課題の優先順位がよりハッキリします。
「やらないこと」を明確にしないと、結局、「何がなんでもやる」「どれだけ残業してもやる」となり、プロジェクトメンバーの負荷が高まり、「プロジェクト」が不健全な状態に陥ってしまいます、、、
更に、課題を「絶対にやること」「次にやること」「やらないこと」の3つに分類する際には、「課題の優先順位の決定」の「納得感」を高めるためにも、基準を明確にすることが重要です。
例えば、整理された課題に対して、
- その課題を解決することで、プロジェクトゴールの達成に大きく貢献できる「3点」、貢献できる「2点」、貢献が少ない「1点」
- その課題を解決することは、時間もコストもかからない「3点」、時間とコストのどちらかがかかる「2点」、時間もコストもかかる「1点」
- その課題を解決することは、多くの組織や部門にとって有益である「3点」、一部の組織や部門にとって有益である「2点」、限られた特定の人にだけに有益である「1点」
というように、「ゴールへの貢献度」「課題解決の難易度」「組織や部門への影響度」の3つの軸からそれぞれ得点をつけて、
7点以上は「絶対にやること」、4点以上6点以下は「次にやること」、3点以下は「やらないこと」など、
明確な基準で分類することで、「課題の優先順位の決定」の「納得感」を高めることができます。
ここでは、それぞれの点数の付け方を、曖昧な表現で書いていますが、実際の「プロジェクト」では、何をもって「3点」とするか?どのような基準で「2点」とするか?など、点数の付け方にも明確な基準が必要になります!
どのように「解決策の検討と選択」の「納得感」を高めると良いのか?
ここで、白川 克・榊巻 亮 著『業務改革の教科書』の中で紹介されている方法をご紹介しますが、
議論はすべて、「選択肢を挙げる(風呂敷を広げる)」→「選択する(風呂敷を畳む)」という「発散/収束モデル」の流れに沿うこと。
議論を行う際に、「上手に風呂敷を広げて、素早く畳むために外せない3要素」は下記の通りである。
・適切な論点
・出しきった選択肢
・選択に足りる情報
白川 克・榊巻 亮 著『業務改革の教科書』(2013)
とあります。
なので、どのように「解決策の検討と選択」の「納得感」を高めると良いのか?というと、
- 適切な「論点」を設定する
- 「選択肢」を出しきる
- 納得できる「理由」や「根拠」かを確認する
の3ステップを順番に実行すると良いです。
適切な「論点」を設定する
「課題の優先順位の決定」において、「絶対にやること」「次にやること」「やらないこと」が決まった後、「解決策の検討と選択」をするための議論に移りますが、まずは、適切な「論点」を設定することが大切です。
はて? 「論点」ってあんまり聞かへんけど、なんぞや、、、?
と思われたかもしれませんが、
「論点」とは、
・「議論の中心」(を何にするか?)
のことです。
「論点」が適切でない場合は、
「絶対にやること」の課題に対して、解決策を議論しましょう!
などといきなり言われ、
「絶対にやること」の課題も複数あるし、一体、どれの解決策を考えれば良いのやら、、、?
と「論点」=「議論の中心」=「何を議論したいのか」が分からずに、混乱してしまいます。
適切な「論点」を設定した場合は、
「絶対にやること」の課題の中で、「何から解決すれば一番効果があるか?」を議論しましょう!
などと言われ、「絶対にやること」の課題の中で、
- 『5-4.短時間で成果を残す原則(3)良循環を起こす』の記事でもご紹介した、良循環を起こせるような課題は何か?(その課題を解決すれば、次の課題にも良い影響を起こせるような課題は何か?)
- 『5-5.短時間で成果を残す原則(4)センターピンを倒す』の記事でもご紹介した、その課題を解決すれば、その他もすべてがうまくいくような課題は何か?
など、「真っ先に取り組むべき課題は何か?」を考えること、選択することに集中できるようになり、議論も活発になります。
「真っ先に取り組むべき課題は何か?」を検討した後で、
「真っ先に取り組むべき課題をどのように解決するのが、一番効率が良いか?」を議論しましょう!
と言われると、真っ先に取り組むべき課題に対しての、「具体的な解決策」と「その中でも一番効率が良い方法が何か?」ということを、集中して考えること、選択すること、そして、活発に議論することができます。
「プロジェクト」の意思決定において、複数人で議論する際は、必ず、「何について議論がしたいのか?」という「論点」を適切に設定したうえで、議論を開始することが大切です! 「論点」が適切でないと、議論がバラバラになり、「納得感」の高い意思決定ができなくなります、、、
「選択肢」を出しきる
適切な「論点」を設定したうえで、解決策の検討を開始できたら、次は、「選択肢」を出しきることに集中する必要があります。
一人ではなく、複数人で「選択肢」を出しきってこそ「納得感」の高い意思決定が可能になります。
どれだけ多くの解決策を出せるか、みんなで競争しましょう! 一番多くの解決策を出せた人には、豪華な景品(役員からのありがたいメッセージなど!?)用意してますよ!?
などと、楽しみながらでも良いので、複数人で「選択肢」を出しきり、「選択肢」を出しきった後に、それぞれ「選択肢」を出したメンバーから、解決策に対する説明を行い、その解決策が良いと思う「理由」や「根拠」を全員で共有することが大切です。
納得できる「理由」や「根拠」かを確認する
「選択肢」を出しきり、それぞれの解決策が良いと思う「理由」や「根拠」を共有できたら、
・『どんな「理由」や「根拠」であれば、納得して選択(決定)ができるか?』
という「選択に足りる情報が何か」を全員で検討します。
それぞれの解決策に対する「理由」や「根拠」の中で、
『この「理由」やったら、プロジェクトメンバーだけでなく、利害関係者も納得してもらえるな!』『この「根拠」があれば、誰にも文句言われようがないな!』
などの、決定的な「理由」や「根拠」を探し出して、解決策を選択(決定)するうえで、納得できる「理由」や「根拠」かを確認することが大切です。
もし、出しきった「選択肢(解決策)」に対する「理由」や「根拠」が決定的でないと感じたら、決定的になるように、更に、「理由」や「根拠」を付け加えるか(更なる裏取りをするか)、「選択肢(解決策)」をもう一度ひねり出して、「納得感」を高めることが大切です!
まとめ
- 「プロジェクト」は、意思決定の連続であること
- 意思決定とは、ある状況において、ゴール(目標)を達成するために、複数の選択肢から、最善の選択を行うこと
- 「プロジェクト」の士気を高め、プロジェクトメンバーのモチベーションを維持し、プロジェクトゴールを達成するためにも、意思決定の「納得感」を高めること
- 「ゴールの設定」では、SMARTなゴールとし、魅力的かどうかにこだわること
- 「課題の優先順位の決定」では、明確な基準を定めること。また、すべての課題を解決しようとしないこと
- 「解決策の検討と選択」では、適切な「論点」を設定し、「選択肢」を出しきり、納得できる「理由」と「根拠」かを確認すること
一つ一つの意思決定の「納得感」を高めることは、簡単なことではないですが、一つ一つの意思決定の「納得感」を高めることが、確実に、プロジェクトゴールの達成につながります。
(意思決定の「納得感」を高めずに、プロジェクトゴールを達成することはできません、、、)
あなたが、一つ一つの意思決定の「納得感」を高めることができるようになり、「プロジェクト」のゴールを達成できることで、あなたの人生がより良いものになることを、心から願っています!